こんにちは、Keiです。
このブログを置いている h.keikun.info は、私が自宅で運用しているサーバーです。普段は技術メモや趣味の話を書いていますが、今回はこのサイトそのものの話、つまり「なぜ23年間も自宅サーバーでサイトを運営しているのか」という方針について書いてみようと思います。最近、昔書いた利用規約を読み返す機会があって、当時の自分と今の自分の考え方の違いが面白かったので、一度きちんと文章にしておきたくなったのです。
このサイトはホスティングサービスでもある
意外と知られていないのですが、このサイトは私のブログ置き場であると同時に、希望者に無料でウェブスペースとメールアドレスを提供するホスティングサービスでもあります。サービス概要にある通り、HTMLでのページ公開、Perl CGIやPHPの設置、.htaccessのカスタマイズ、メールの送受信まで、ひと通りのことができます。広告表示もありません。ユーザーには https://h.keikun.info/~ユーザー名/ というURLと、ユーザー名@h.keikun.info のメールアドレスが割り当てられます。昔ながらのチルダ付きURLに、懐かしさを感じる方もいるかもしれませんね。
料金は無料です。利用規約には「今も今後も料金を頂くようなことは一切考えていません」と書いてあります。種明かしをすると、自宅の回線契約上、営利目的のサーバーを立てられないという事情もあるのですが、それを抜きにしても、お金をいただくつもりは最初からありませんでした。
始まりは2003年、ADSLの時代
このサーバーを立てたのは2003年、私が大学3年生のときです。世の中にようやくADSLが普及してきたころで、常時接続という言葉がまだ新鮮だった時代でした。それまではISDNの時間課金で、i・アイプランの定額枠を気にしながらネットをしていた身からすると、「24時間つなぎっぱなしにできる」というのは、それだけで世界が変わるような出来事だったのです。
きっかけは、ただの興味本位です。自分の部屋にあるコンピューターでホームページを公開すれば、全世界とつながることができる。その事実そのものが面白くて、まずウェブサーバーを立てて、自分のページを作ってみたのが始まりでした。
当時はウェブリングやリンク集を通じてサイト同士がつながっていく文化がありました。検索エンジンで探すというより、人のサイトのリンク集をたどって次のサイトへ流れていく。そういう回遊の中で、思いがけないページに出会うのが楽しい時代でした。それに近い感覚で、ホームページを公開する場所を提供すれば、使ってくれるユーザーとの間に何かコミュニケーションが生まれるかもしれない。そんな期待で、自分のページだけでなく、人にスペースを貸すことを始めました。
利用規約に残っている、20代の自分
いま利用規約を読み返すと、「親切に質問いただければ親切にお答えしますし、適当に質問されれば適当に返します」とか、「このサーバを使って悪いことに使わないで。ちゃんと監視していますよ」とか、ずいぶん尖った文面が並んでいます。書いたのは20代の私で、当時は性格も少しきつかったのだと思います。この書き方は、近いうちに少し直そうと思っています。
ただ、ああいう書き方になったのには理由があります。利用者の大半は良心的な方でしたが、中にはそうでない人もいました。申し込んだきり一度も使わない人。誹謗中傷を書き込む人。スペースをファイルサーバーとして使い、それをさらに別の人に貸す「又貸し」をしていた人。一番ひどかったのは、CGIに他のサーバーを攻撃するスクリプトを仕込まれ、踏み台にされたことです。アカウントの作成は今も昔も私の手作業ですし、「作成後1週間以内にコンテンツの第一版を公開すること」という妙に具体的なルールがあるのも、せっかくアカウントを作ったのに一度もアップロードしてもらえないことが続いたためでした。規約の一行一行に、それぞれ対応する「事件」があるわけです。
規約のところどころに「言語道断なのですが、昔実際にこのようなことをしていたユーザがいました」という注記が残っているのは、すべて実話です。個人が善意でサーバーを開放すると何が起きるか、という記録としては、それなりに価値のある文面かもしれません。
ピーク時10人、今は2〜3人
ユーザーはピーク時で10人ほどいたと思います。今も更新が続いていると思われるのは2〜3人で、しばらく使われていないアカウントは、近いうちに一度棚卸しをしてリセットするつもりです。
サイトの中には、いまだにOutlook Expressのメール設定やFFFTPの設定例といったヘルプページが残っています。もう誰も使っていないソフトの解説で、23年の地層のようなものですが、これもさすがにそろそろ整理しようと思っています。
23年も経てば、時代は変わります。昔のインターネットは趣味の世界でしたが、今はスマホやタブレットが普及して、生活の一部になりました。個人が何かを発表したければ、SNSをはじめ無料の手段はいくらでもあります。自宅サーバーで個人がスペースを貸すことの実用的な意味は、正直なところ、ほとんどなくなったと思います。
それでも続ける理由
それでも、このサービスは続けていくつもりです。
理由を一言でいうと、私自身がコンピューターに育てられてきたからです。大学で情報系を学び、IT企業で20年働いてきた土台には、若いころに自分の手でサーバーを立てて、壊して、直してきた経験があります。レンタルサーバーやクラウドを借りるのと、自分の部屋で物理的なマシンを動かすのとでは、得られる経験の質が違います。OSが起動しなくなって途方に暮れる夜も含めて、全部が勉強でした。だから、これからコンピューターに興味を持って学びたい人に技術の基盤を提供することは、いいことだと思っているのです。
法律も時代も変わったので、昔のように何でも自由にできるわけではありません。それでも、出来る範囲で何か提供できるものはないか、探している状態です。次の世代のために何かを残せないか、というのが、いま私の持っている思いです。
申し込みは、今も受け付けています
今でも、年に数回お申し込みをいただくことがあります。ただ、ここ数年は返信をしていません。メールはすべて確認しています。返信するかどうかは、申し込みの内容次第です。
過去にいろいろあったこともあり、申し込みの中身は審査をした上でアカウントを作りたいと考えています。このサイトはもともと、コンピューターに興味がある若い人に何かできないか、という思いで作っているものです。その思いに反する内容の申し込みは、基本的にお受けしません。
一方で、コンピューターに興味があって、HTMLやウェブサーバーがどういうものか一度触れてみたい、ただお金はかけたくない。そういう方は、今後も受け付けていくつもりです。幸い、プロバイダーの仕様変更でウェブサーバーを公開できなくなった際に、固定IPで公開できる環境を個別に整えたので、技術的には昔できなかったこともできるようになっています。それでも、方針は変えないつもりでいます。
興味のある方は、申し込みフォームか管理人への連絡フォームから、あなたの熱意を伝えていただければと思います。
英語ページのこと、海外の方へ
もう一つ、最近の変化についても書いておきます。この1ヶ月で、Claude CodeからWordPressへ記事を投稿する仕組みを構築しました。ちなみにこの記事は、リリースされたばかりのClaudeの新モデル「Fable 5」と一緒に書いた、最初の記事だったりします。その流れでこのサイトは英語ページにも対応しています。
私自身は英語を喋れません。それでも、AIのおかげで英語のページが簡単に作れるようになったので、日本語の通じない海外の方ともやり取りができたら嬉しいな、と思う場面が増えました。ウェブスペースの申し込みページはまだ英語版を用意していませんが、海外の方でも興味があれば、Contactページからご連絡ください。私も英語の勉強がしたいので、ぜひコミュニケーションしましょう。
まとめ
2003年に興味本位で立てたサーバーが、気づけば23年動き続けています。インターネットが趣味の世界から生活の一部に変わっても、「無料。今も今後も料金を頂くようなことは一切考えていません」の一文は変わっていません。規約の尖った文面を丸くしたり、休眠アカウントを整理したり、やりたいことはまだいくつかありますが、それも含めてこのサーバーとの付き合いなのだと思います。
実用的な意味は薄れたかもしれませんが、ここがどこかの誰かにとって、コンピューターに触れる最初の場所になれるなら、それで十分かなと思っています。
— Kei