カメラ Camera


フジのネオ一眼初号機であるがこの時代はまだネオ一眼という呼称は無く、単にコンデジの最上位機として位置付けられていただけである。
実際、機種名の数字の前にアルファベットは付かずシリーズ別けはされていなかった。
コンデジに明るく倍率の高い大型のレンズを取り付けて、これ一台でどのようなシチュエーションでも賄えるよう一眼レフを凝縮したようなモデルであった。
操作性や機能は多彩で一眼レフユーザーが使用しても違和感無く使えるようになっていた。

レンズは7.8-46.8mmF2.8-3.1(35mm換算35-210mm相当)からなる光学6倍ズームで当時は高倍率なズームであった。
当初のフジの意気込みが感じられるのはこのレンズ部分で、ワイド端35mmでF2.8と明るくテレ端210mmでF3.1を保っていたのは大したものである。
のちの後継機である6900ZやS602,S7000まで引き継がれ、フジの自信作だったことが窺える。
当方が当時このカメラを選んだひとつがこのレンズの明るさとテレ端210mmの望遠域だった。
但し、TTL測距のみで外部フォーカスセンサーやフォーカス補助光などが無いため、フォーカススピードは遅く暗部でのピント合わせは苦手であった。

フォーカス関係を鏡筒左側に配置したのは現在のネオ一眼と同じでズームボタンも設置されていた。
また独立したカスタムホワイトボタンが設置されていた。
当時のフジのカメラはホワイトバランスの正確さに定評があったが、ユーザーが容易に変更できるようにダイレクトボタンを設置したのは大変便利であった。
それと現在のネオ一眼と違って露出補正ボタンがこちらに設置されていたが当方はこちらの方が使い易いと感じた。
S602以降、シャッターボタン付近に設置されるようになったが、ボタンの配置や大きさ質感から押し難く、右手人差し指で押しながらプリセットダイヤルを回すのがやり難かった。
4900Zの場合、この露出補正ボタンが他のボタンよりも大きく左手親指で押しながら右手親指でプリセットダイヤルを回すのでやり易かった。

ディスプレイは2インチ13万画素を装備。改めて手にして思ったが意外と見易いディスプレイである。
但しカラーバランスがあまり正確ではないので実像との差異を考慮して見る必要がある。
操作系は今のフジと大きく変わらない。
左側鏡筒部分にあるズームボタンに加え、方向キー上下ボタンと兼用されてこちらでもズーム操作ができる。

グリップ部前部に電池室を設け、後部にメディアカードの挿入口があるのも今のネオ一眼機と変わらず。

上部から見ると大きなレンズに操作部をくっ付けたようなデザインで体積にしてボディの半分をレンズが占めている。
外部ストロボを付けられるホットシューは上位モデルに奢られる装備。

下部から見ると更にレンズの大きさがよくわかる。
三脚の取付ネジ穴がレンズのセンターに配置されていないのは少々残念である。
やはり三脚の中心とカメラレンズ中心が一線に並ぶのが理想と当方は考える。
最近の三脚の雲台は取付ネジの位置を調整できないものが多く、またクイックシューを装備するものが多いため、三脚のセンターにレンズのセンターを合わせることができなくなっている。
この位置だと三脚に乗せたままだと雲台の大きさによっては電池交換ができない場合があるので、尚更レンズのセンター付近に三脚穴がある方がよい。

ストロボモードボタン・マクロボタン・連射ボタンと独立したダイレクトボタンになっているのも今のフジ機と同じで基本操作はこの世代で確立されていた。
セルフタイマーが独立しているのは大変便利。
これはマクロやスローシャッターでの撮影時、リモートレリーズの使えないカメラではセルフタイマーを利用してブレ防止に役立てるので、ダイレクトボタンで即座に設定できるのは非常に使い勝手が良い。
S602以降、メインスイッチと撮影再生モード切り替えが統合されレリーズボタン廻りに移設されたが、4900Zのように独立している方が使い易く、撮影や再生のモード切り替えもやり易い。

モードダイヤルとプリセットダイヤルは同一上にあるデュアルダイヤル式。
実はこれ、最初に所有した当時は気にならなかったが、後継機の高さのある独立したそれぞれのダイヤルと比べると扱い難い。
モードダイヤルは薄く堅くまたひと回り小さいので指一本で回すというわけには行かず、摘ままないと回せない。
またプリセットダイヤルも薄く指との掛かりが悪いため、爪を引っ掛けて回す必要がある。
個人差があるだろうが改めて手にした今は操作し難いと感じた。

グリップ部は電池を収められるだけの大きさに留めているのでスリムで小さい。
手の小さな当方はS9100やS6000fdよりもこちらの方が握り易い。
またS9100やS6000fdのところでも述べたが指の形状に合わせた凹凸の造形が無い分、指すべてがグリップ内に収め易くなっている。

電池は専用のリチウムイオンバッテリー。
型番はNP-80で容量は1300mA(1100mAもある)。
当時電池の持ちが悪く評判が悪かった。
近所の散策や小旅行で当方が撮影するショット数では特に電池の持ちで困ることはなかった。

蓋の内部はUSB端子にAV端子や電源端子が配置されインターフェースが纏めて設置されている。
外部電源使用時はこの蓋が開けっ放しになることから撮影時に謝って破損の可能性があるので注意が必要。

メディア挿入口を開けたところ。
使用するメディアは過去の遺物であるスマートメディア。
容量も最大で128MBと大きなファイルを保存できるような容量ではない。
実際、最高画質の4M Highで撮影する場合、記録可能枚数は10枚程度である。
L版程度の印刷なら2M FINE(128MB使用で160枚程度記録可能)で十分。
またネットにアップするのも同じく2M FINEのリサイズで十分なので、このサイズで撮影するのが無難であり撮影枚数も稼げる。

ストロボは外部調光式。
CCD調光式はS9000までお預けとなる。
迫り出す鏡筒の長さに対してストロボ位置が低いためワイド端且つ近接で撮影する場合はケラレる可能性があるので注意。
内蔵ストロボであるため、当然ながらガイドナンバーは小さい。
緊急用と考えた方が良い。
上級機の装備であるホットシューを利用してストロボ撮影の際は積極的に外部ストロボを使うことをお勧めする。
またその方がカメラ本体の電池を使わず発光できるので、カメラの電池の持ちも良くなる。
以前使用していた時にSunpakのauto20SRを使用していたが、このストロボのトリガー電圧は実測で200Vであった。
auto20SRを使用してもカメラが壊れなかったところをみると高電圧トリガーに対応していると思われる。
S602やS9100など400Vまでのストロボが使用可能とのことだったので、耐電圧は同じと考えられるが詳細は不明。

今回、改めて手にして驚いたのが背面のディスプレイ。
現行機に匹敵するほどとは当然行かないが古いモデルという意味と中古であることの両方を加味しても結構明るく十分な輝度を保っていた。
先にも述べたがS602の1.8インチ11万画素に対して2.0インチ13万画素とこちらの方が大きく細かい。

電源を入れてレンズが迫り出したところ。
どの機種でも同じなのだが、コンデジで唯一気に入らないのが電源投入時のレンズの迫り出し。
これはコンパクトに収めるために致し方ない機能ではあるが、レンズが延びた時の姿が格好悪すぎる。
これは一眼レフのズームでも同じことで、アウターズームになったことで内筒が迫り出した時の先細の形が悪すぎ。
もう少しデザイン的にどうにかならないかと思う。
個人的な意見ではあるが、マニュアル時代のインナーズームの方が好みである。

最後に

最初の4900Zを購入したのは確か今は無き地元のLAOXだったと記憶している。
初めてデジカメを購入するということで雑誌やネットでの特集を散々読み、店頭に何回も足を運んで手に触れ、決断した覚えがある。
この決断は改めて手にして間違ってはいなかったと思った。

現行カメラのような手振補正や顔認識、高感度撮影など最新の機能は全く無いが、基本性能を詰め込んだボディには、撮影に必要な機能を独立したボタンに割り振り、簡単且つ即座に設定できるという撮影者にとっては有り難い装備が幾つもあった。

頭で描いたイメージをいつでも瞬時に露出(撮影)に反映できるということは、撮影に対しての安心へと繋がり、それがカメラに対しての信頼感となる。
もちろんボタン配置や機能を呼び出した際の設定などに未完成な部分はあるが、操作系や設定方法など殆どがのちのネオ一眼に引き継がれている。

確かに今となってはフォーカススピードは現行機と雲泥の差があり、当然レリーズのタイムラグも大きく、子供や動物といった動きのある被写体の撮影は無理。
はっきり言って苛々するだろうと思う。
が、そのようなシーンでの撮影はそれぞれに対応できるカメラを使えばよいだけであって、4900Zが得意な、または4900Zで撮影のできるシーンで使えばよいだけのことである。

何世代も前のモデルであり「今となっては」というカメラではあるが、このようなカメラを使いこなすというのもまた写真の面白さ、機械弄りの楽しさである。

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