JavaTM 2 SDK, Standard Edition, v 1.4 での Swing の変更点および新機能 |
Swing プロジェクト |
Swing に大きな影響を与えるような各機能については、通常、個別のドキュメントに分けて説明します。 以下のリンクをクリックして、それぞれのドキュメントを参照してください。
JTabbedPane
JSpinner
JFormattedTextField
Popup
および PopupFactory
各セクションに、関連するクラスのセットに対する変更点を説明します。 ほとんどのセクションでは、JEditorPane
や JTable
など、Swing の単一コンポーネントの一部であるクラスに焦点が当てられています。 各 API の変更は、Java Developer Connection (JDC) Bug Parade にあるレポートへのリンクと関連付けられています。このサイトで、変更の理由となったバグや RFE (機能拡張の要求) を参照することができます。 このドキュメントには、各 API の変更についての以下の情報も含まれています。
Box
JButton
JComboBox
JFileChooser
JInternalFrame
JList
JOptionPane
JPopupMenu
JPanel
JRootPane
JScrollBar
JScrollPane
JTabbedPane
JTable
JTextComponent
JTree
RepaintManager
SpringLayout
Box が JComponent から派生するようになった
この変更に関連するバグレポート: 4304100.
従来、
Box
のスーパークラスはComponent
でした。Box
がJComponent
から派生しなかったので、たとえば、ボーダを設定したり、revalidate
を発行するなどで、通常の Swing コンポーネントのようにBox
を使用できませんでした。 これに限らず、視覚的な変更やその他の同様な視覚上のプロパティの変更でも、標準的な Swing コンポーネントは通常、repaint
またはrevalidate
を使用して変更しますが、Box
はこの動作に適合しませんでした。 このリリースから、Box
およびBox.Filler
がJComponent
スーパークラスから派生するので、標準 Swing コンポーネントにより近い動作をします。BoxLayout が右から左、および下から上へのコンポーネントの向きをサポートするようになった
この変更に関連するバグレポート: 4140833.
BoxLayout
では、レイアウトするContainer
のComponentOrientation
が考慮されませんでした。 ほかの AWT レイアウトマネージャは、JDK 1.2 にComponentOrientation
機能が追加されたときに、コンポーネントの向きを考慮するように作成されました。 この機能をBoxLayout
に追加すると$中東ロケールをサポートするプログラムで役に立ちます。BoxLayout
は、JOptionPane
、JToolBar
、JMenuBar
などの、その他の Swing コンポーネントにも内部的に使用されます。この機能を追加することは、このようなコンポーネントがComponentOrientation
をサポートするためにも必要です。この機能をサポートするために、定数の
LINE_AXIS
とPAGE_AXIS
、およびBoxLayout(Container, int)
コンストラクタがBoxLayout
に追加されました。さらに、
SizeRequirements
内の以下のメソッドも変更されました。
calculateTiledPositions(int,SizeRequirements,SizeRequirements[],int[],int[],boolean)
calculateTiledPositions(int,SizeRequirements,SizeRequirements[],int[],int[])
calculateAlignedPositions(int,SizeRequirements,SizeRequirements[],int[],int[],boolean)
calculateAlignedPositions(int,SizeRequirements,SizeRequirements[],int[],int[])
強調表示される文字の新規コントロール
この変更に関連するバグレポート: 4138746.
AbstractButton
とJLabel
の両方を使用することで、ある動作を実行するためにキーボードから入力する文字 (ニモニック) を設定できます。 javadoc ではこれらのメソッドについて、設定した文字が最初に出現したときに大文字小文字にとらわれず強調されると説明しています。 この機能はほとんどの開発者に適合しますが、同じ文字がまた出現した場合にそれも強調表示する必要がある場合も、かなりの程度あります。 たとえば、「メモ帳」内では、「a」が [名前をつけて保存 (Save As)] のアクセラレータですが、2 番目の「a」が強調される文字です。 開発者には、これを指定できる方法が必要です。この問題は、新規メソッドの
AbstractButton.setDisplayedMnemonicIndex
およびJLabel.setDisplayedMnemonicIndex
で解決できます。setMnemonic
またはsetDisplayedMnemonic
メソッドでニモニックを指定すると、setDisplayedMnemonicIndex
メソッドで、強調表示される文字を変更できます。 さらに、新しいAbstractButton.getDisplayedMnemonicIndex
およびJLabel.getDisplayedMnemonicIndex
メソッドがあります。 また、drawStringUnderlineCharAt
がjavax.swing.plaf.basic.BasicGraphicsUtils
に追加されました。
AbstractButton.configurePropertiesFromAction で ACTION_COMMAND_KEY プロパティが尊重されるようになった
この変更に関連するバグレポート: 4457940.
これまで、
AbstractButton
のconfigurePropertiesFromAction(Action)
メソッドおよびconfigurePropertiesFromAction(Action, String[])
メソッドでは、ACTION_COMMAND_KEY
プロパティが尊重されませんでした。 このリリースでは、この点が対処されました。 そのため、次に示すAbstractButton
のサブクラスで、configurePropertiesFromAction
メソッドの javadoc が変更されました。
JComboBox への PopupMenuListener の追加
この変更に関連するバグレポート: 4287690.
コンボボックスのドロップダウンメニューがポップアップされたり、元に戻されたり、取り消されたりするときにリスナーに通知される機能のサポートを、多くの開発者が求めていました。 アプリケーションでは、このようなリスナーを使用して、コンボボックスのモデルを各項目とともに生成することができました。
この機能は、Look & Feel の実装のいくつかで提供されない可能性のあるドロップダウンメニュー機能用にリスナーをサポートすることについて、何らかの、おそらくはアカデミックな懸念があったために、初期バージョンの Swing には提供されませんでした。 しかし、Java とともに出荷されるすべての Look & Feel と、ほかのすべての Look & Feel でも、コンボボックスのすべての項目を表示するためにドロップダウンメニューが使用されています。 そのため、メニュー状態の変更通知を取得するために、移植性のないハックに頼る開発者もいました。
このリリースでは、
PopupMenuListener
がJComboBox
に追加されました。 基盤となる Look & Feel が項目メニューをサポートしている限り、このリスナーを使用して、コンボボックスのメニューが表示される前後にアクションを実行できます。 この機能をサポートするには、JComboBox
の以下の新規メソッドが必要です。public void addPopupMenuListener(PopupMenuListener l) public void removePopupMenuListener(PopupMenuListener l) public void firePopupMenuWillBecomeVisible() public void firePopupMenuWillBecomeInvisible() public void firePopupMenuCanceled()
この変更に関連するバグレポート: 4231298.
これまで
JComboBox
は、表示する各項目のレンダラを構成していました。 リストが大きい場合、この構成方法は時間がかかります。 開発者が代わりに必要としていたのは、すべてのセルに一致するプロトタイプを指定し、そのプロトタイプだけが各セルの代わりに 1 回だけチェックされるような機能でした。 このリリースでは、getPrototypeDisplayValue
とsetPrototypeDisplayValue
がJComboBox
に追加されました。
この変更に対応するバグ追跡レポートは、 4394300 です。
これまで、
JComboBox
の public API とその UI 委譲には、その実装方法を詳細に説明した javadoc が含まれていました。 ただし、時間の経過とともに機能の再考とバグの修正を経て、この javadoc は時代遅れとなりました。 実装の詳細ではなくメソッドの動作を説明するように、javadoc のチェックと改訂が行われました。 また、実際には非公開であるはずの「protected」メソッドやフィールドに関しては、このようなメソッドのオーバーライドや呼び出しを奨励しないように、javadoc がいくつか削除されました。そのため、
JComboBox
、ComboBoxModel
、MutableComboBoxModel
、javax.swing.plaf.basic.BasicComboBoxUI
、javax.swing.plaf.basic.ComboPopup
、およびjavax.swing.plaf.basic.BasicComboPopup
の javadoc が変更されました。
Windows Look & Feel での JFileChooser の改善
この変更に対応するバグ追跡レポートは、 4290709 です。
Swing の
JFileChooser
は、Windows Look & Feel に基づいた Windows の一般的なファイルのダイアログボックスと似ていますが、多少の欠如部分があり、ご不満を頂いていました。 特に、Microsoft Windows の外観ガイドには、次のような記述があります。通常の [開く] および [名前を付けて保存] ダイアログボックスが使用できない場合は、自分で作成するダイアログボックスに以下の機能を組み込んで、シェル、Windows アクセサリ、およびその他のアプリケーションと確実に一貫性を保つようにしてください。
- シェルと同じ名前空間の階層を保つ。つまり、デスクトップを階層のルートにし、[マイ コンピュータ] や [マイ ネットワーク] を含むデスクトップ上のすべてのフォルダとオブジェクトを次の階層にする。 [...]
- ショートカット (シェルリンク) をサポートする。 [...]
- 対応するアイコン付きでファイル名を表示し、シェルと同様にファイル名拡張子は削除する。
- ユーザがネットワーク階層を直接参照できるようにする。
- 独自に作成する [開く] および [保存] ダイアログボックスだけではなく、作成するすべてのダイアログボックスで、太字以外のフォントだけを使用する。 [...]
上の箇条書きの最初の 4 項目を Swing 内で実現するには、AWT からの追加の API サポートが必要です。 AWT 共通ファイルダイアログも、現在では、以下の理由で受け入れ難いソリューションになりました。
- JFileChooser のようなフレームまたはダイアログに組み込めない。
- ファイル名のフィルタが実装されていなく、また、Windows に実装するのは難しい。
新しい機能が、以下の public メソッドを
javax.swing.filechooser.FileSystemView
クラスに追加することで実行されます。 このクラスによって、File
クラスの適用範囲を超えて、ファイルとディレクトリの情報が提供されます。public boolean isTraversable(File f) public String getSystemDisplayName(File f) public String getSystemTypeDescription public Icon getSystemIcon(File f) public boolean isParent(File folder, File file) public File getChild(File parent, String filename) public boolean isFileSystem(File f) public boolean isFileSystemRoot(File dir) public boolean isDrive(File dir) public boolean isFloppyDrive(File dir) public boolean isComputerNode(File dir) public File createFileSystemRoot(File f) public File[] getRoots()
isTraversable
メソッドがjavax.swing.plaf.basic.BasicFileChooserUI.BasicFileView
から削除されたので、そのスーパークラスの実装が使用されます。
createListSelectionListener
がjavax.swing.plaf.metal.MetalFileChooserUI
に追加されました。また、
javax.swing.plaf.basic.BasicDirectoryModel
には次の変更があります。public void intervalAdded(ListDataEvent e) public void intervalRemoved(ListDataEvent e) public void renameFile(File oldFile, File newFile)
JFileChooser 内で [Open Directory] ボタンの特徴を指定する新機能
この変更に対応するバグ追跡レポートは、 4318785 です。
Look & Feel では、
JFileChooser
内でディレクトリを開くために使用するボタンのテキスト、ツールヒントのテキスト、およびニモニックを指定する機能が必要です。この機能をサポートするために、次の定数とメソッドが
plaf.basic.BasicFileChooserUI
に追加されました。protected int directoryOpenButtonMnemonic = 0; protected String directoryOpenButtonText = null protected String directoryOpenButtonToolTipText = null protected boolean isDirectorySelected() protected void setDirectorySelected(boolean b) protected File getDirectory() protected void setDirectory(File f)複数ファイル選択のサポート
この変更に対応するバグ追跡レポートは、 4218431 です。
JFileChooser
で複数のファイルを選択できるようになりました。ただし、setMultiSelectionEnabled
の javadoc は見落としのため更新されていません。 この javadoc は次のリリースで修正されます。
JInternalFrame では、長すぎるタイトルを切り捨てるようになった
この変更に対応するバグ追跡レポートは、 4134077 です。
以前は、内部フレームのタイトルが長すぎる場合でも、クリップされませんでした。また、タイトルがアイコン部分の上に重ねて表示され、タイトルがクリップされたことをユーザが視覚的に検討できませんでした。 この問題を解決するために、
BasicInternalFrameTitlePane.getTitle
が追加されました。Windows Look & Feel 内の JInternalFrame のタイトルがグラデーション付きでレンダリングされるようになった
この変更に関連するバグレポート: 4389209.
これを正しく実装するには、
com.sun.java.swing.plaf.windows.WindowsInternalFrameTitlePane
クラスを作成する必要がありました。このクラスはjavax.swing.plaf.basic.BasicInternalFrameTitlePane
の拡張ですが、適切な場合にグラデーションをレンダリングするために、ペイントルーチンがオーバーライドされています。 従来のコードを再利用するもっとも適切な方法は、バックグラウンドだけをペイントする部分をペイントメソッドから分離し、WindowsInternalFrameTitlePane
内でその部分をオーバーライドすることです。paintTitleBackground
メソッドがjavax.swing.plaf.basic.BasicInternalFrameTitlePane
に追加されました。
JEditorPane 内のイメージ用のツールヒントに対する新規サポート
この変更に関連するバグレポート: 4252169.
以前のリリースでは、
JEditorPane
内でイメージをレンダリングするView
であるImageView
がツールヒントのテキストを表示することはできませんでした。View
には、JTextComponent
のために表示されるツールヒントテキストに影響を与える手段がなかったためです。 今回のリリースでは、JTextComponent
にツールヒントがない場合に、マウスの下のビューがツールヒントを表示するように要求されます。 そのView
が ALT 属性のある HTML 要素に対応付けられている場合、ツールヒントのテキストは、その属性の値になります。
View
がツールヒントのテキストに影響を及ぼすことができるようにするには、多数のメソッドが必要でした。getToolTipText
がjavax.swing.plaf.TextUI
に追加されたので、特定の位置にあるツールヒントのテキストを取得できるようになりました。 これで、JTextComponent
のgetToolTipText
メソッドは、ツールヒントがJTextComponent
に設定されていないとみなし、TextUI
にツールヒントを転送します。また、
getToolTipText
がjavax.swing.text.View
に追加されました。View.getToolTipText
のデフォルトの実装では、要求が指定された位置にあるView
の子に転送されます。 特定の位置にある子を簡単に判断できるように、getViewIndex
がView
に追加されました。
View
の実装では、getViewIndex
が呼び出され、次に子のView
でgetToolTipText
が呼び出されます。 次にImageView
によってgetToolTipText
がオーバライドされ、そのAttributeSet
の ALT 属性から値が返されます。ImageView クラスが public になった
この変更に関連するバグレポート: 4233811.
パッケージの非公開クラスであった
javax.swing.text.html.ImageView
が公開されたので、このクラスを拡張することができるようになりました。
HyperlinkEvent の読み取り専用新規プロパティ elementOffset
この変更に関連するバグレポート: 4182124.
HTML パッケージでは、マウスがリンク上を移動したことを
HyperlinkEvent
およびHyperlinkListener
クラス経由で検出する方法が、開発者に公開されました。 開発者にとっては、HyperlinkListener
に通知されたときにドキュメントから情報を抽出する方法が必要な場合もあります。 従来は、HyperlinkEvent
が示すドキュメント内の位置を、開発者が判断する方法がありませんでした。 この問題を改善するために、HyperlinkEvent(Object, EventType, URL, String, Element)
コンストラクタとgetSourceElement
メソッドがHyperlinkEvent
に追加されました。
HTMLFrameHyperlinkEvent
によってHyperlinkEvent
が拡張され、これはすでにgetSourceElement
メソッドを定義しています。 現在ではスーパークラスでこのメソッドを定義するため、getSourceElement
の javadoc は、HTMLFrameHyperlinkEvent
から削除されました (メソッド自体は継承されている)。HTML パーサの変更 - 空白の報告
この変更に関連するバグレポート: 4241788.
HTML パーサ (a href="../../api/javax/swing/text/html/parser/Parser.html">
javax.swing.text.html.parser.Parser
) のセマンティクスが、NetscapeTM や Internet Explorer などのブラウザにより良く適合するように若干変更されました。 API に変更はありませんが、空白の報告で多少の変更があります。 例を挙げます。strict
(javax.swing.text.html.parser.Parser
のインスタンス変数) ==false
(デフォルト) の場合は、Netscape と Explorer の動作を模倣するために、インスタンス変数が使用されます。次に、問題のあるシナリオを示します。
'<b>blah <i> <strike> foo'これは、次のように処理される可能性があります。
'<b>blah <i><strike>foo'同様に、
'<p><a href="xx"> <em>Using</em></a></p>'これは、次のように処理される可能性があります。
'<p><a href="xx"> <em>Using</em></a></p>'タグがフローを分断したり末尾の空白が検出されると、インスタンス変数は true に設定されます。 そのため、すべての空白が無視されます。 最初に空白以外の文字があったときに、インスタンス変数は false に設定し直されます。
HTML フォームの書き込みに対するサポートが改善された
この変更に関連するバグレポート: 4200439.
J2SETM で提供された HTML サポートでは、フォームの各要素の書き込みが正しくサポートされませんでした。 この原因の大部分は、フォームのモデル化の方法にありました。 ドキュメントオブジェクトのモデル (www.w3.org の DOM を参照) にいっそう一致させるために、フォームが内部的にモデル化される方法が変更されました。 以前は、フォームのすべての属性が、子の文字要素すべての
attributeSet
に格納されました。 このリリースから、HTML ファイル自体にいっそう一致するように、フォームを表す要素が作成されます。 この方法により、フォームがより良くモデル化される上に、フォームを一貫して書き出せるようになります。この変更は、厳密でないフォームの処理に依存していた開発者にとっては影響があります。 たとえば、次のような無効な HTML を処理するとします。
<table> <form> </table> </form>これまでは、次のように見なされていました。
<form> <table> </table> </form>このリリースでは、代わりに次のように処理されます。
<table> <form> </form> </table>
javax.swing.text.DefaultHighlighter
クラス内の静的な DefaultPainter がFinal
になったこの変更に関連するバグレポート: 4328938.
このリリース以前は、
javax.swing.text.DefaultHighlighter
の static フィールドDefaultPainter
は final ではありませんでした。 これには、潜在的にセキュリティ上の問題がありました。 このリリースでは、これがFinal
になりました。
PlainDocument コンストラクタが公開された
この変更に関連するバグレポート: 4220001.
このリリース以前は、
PlainDocument(AbstractDocument.Content)
コンストラクタは保護されていました。 つまり、このコンストラクタを使用しようとする開発者はサブクラス化する必要がありました。 このコンストラクタはもともと公開する予定で作成され、このリリースで公開されました。JEditorPane.scrollToReference メソッドが公開された
この変更に関連するバグレポート: 4304676.
JEditorPane.scrollToReference
は、不適切な理由で保護されていました。 このメソッドはサブクラス化しなくても役に立つことを目的に作成されており、このリリースで公開されました。Document.getText メソッドで部分戻り値が許可されるようになった
この変更に関連するバグレポート: 4156650.
テキストドキュメントの内容に効率的にアクセスするには、
Document
でgetText(int, int, Segment)
メソッドを定義します。 残念なことに、呼び出し側には、受け手側が要求を効率的に満たすかどうかを判断する手段がありませんでした。 たとえばGapContent
は、要求がドキュメントの最後に編集されたスポット (ギャップ) を超えないかぎり、要求を効率的に実装できました。 内容への効率的なアクセスを促進するために、setPartialReturn
およびisPartialReturn
メソッドがSegment
に追加されました。Document.getText
のセマンティクスが現在のところ保持されていますが、より効率的に使用するために、呼び出し側がsegment.setPartialReturn(true)
を呼び出して、いつでもドキュメントの一部を取得し直す準備をしておく必要があります。
JEditorPane で HTML のユーザ補助機能がサポートされるようになった
この変更に関連するバグレポート: 4303259.
ユーザ補助機能 (または技術) では、Accessibility API を使用して
JEditorPane
の内容にプログラムでアクセスすることが要求されます。 以前のリリースでの唯一のアクセスは、ハイパーリンクテキストへのアクセスでした。 この API の変更によって、Accessibility API を使用してすべての HTML コンポーネントにアクセスできるようになりました。
javax.swing.text.html.HTMLEditorKit
は、javax.accessibility.Accessible
を実装するようになりました。
JEditorPane
は、getAccessibleContext()
を実装するようになりました。
新しい AbstractDocument.replace メソッドの追加サポート
この変更に関連するバグレポート: 4458513.
RFE 4431047 の一部として、
replace
メソッドがAbstractDocument
に追加されました。 このメソッドからremove
およびinsertString
(Document
を変更するためのインタフェースに定義されているメソッドはこの 2 つのみ) を呼び出すことができるように、writeLock
を呼び出すための制約が緩和されました。 このため、replace
メソッドは、remove
とinsertString
をオーバーライドするだけの、古いバージョンのAbstractDocument
とも互換性があります。
新規 showInputDialog メソッド
この変更に関連するバグレポート: 4226644.
この前のリリースでは、デフォルトの文字列付きのテキストフィールドを含んだ単純な入力ダイアログボックスを表示しようとする場合、7 個のパラメータが必要な、複雑な
JOptionPane.showInputDialog
メソッドを呼び出す必要がありました。 新しい 2 つのshowInputDialog(Object, Object)
およびshowInputDialog(Component, Object, Object)
メソッドでは、単純な入力ダイアログボックスの作成と表示がより便利になりました。JOptionPane で ComponentOrientation がサポートされるようになった
この変更に関連するバグレポート: 4265463.
JOptionPane
では、右から左の方向のレイアウトが必要でした。 この変更はバグの修正であり実際の API は必要ありませんが、JOptionPane
およびjavax.swing.plaf.basic.BasicOptionPane
のクラス仕様が更新されました。
JPopupMenu でキーバインドがサポートされるようになった
この変更に関連するバグレポート: 4212563.
以前は、
JPopupMenu
でキーバインドはサポートされませんでした。 矢印キー、ニモニック、Enter キー、および Esc キーは、JPopupMenu
がJMenu
やJComboBox
のような複合コンポーネントの一部として使用されない限り、JPopupMenu
には作用しませんでした。この動作は、
JPopupMenu
には常にフォーカスが当てられず、そのためKeyEvents
を取得することができないことに原因があります。 以前のリリースでは、Swing のような軽量のツールキットがフォーカスを要求し、フォーカスの変更が一時的であることを示すことは不可能でした。 新しいフォーカスのアーキテクチャによってこの問題が解決され、Swing で一時的なフォーカスの変更を要求できるようになりました。 このバグを修正するには、JPopupMenu
にフォーカスを取得させ、キーバインドが処理されるようにする必要がありました。 以前はフォーカスの変更が予測されなかったコンシューマでは、コードを更新して、FocusEvent
の一時的なプロパティをチェックする必要があります。JPopupMenu.setVisible(true) がヘッドレスモードで HeadlessException をスローするようになった
この変更に関連するバグレポート: 4401222.
ヘッドレスモードが新規に導入された際、
JPopupMenu.setVisible(true)
はヘッドレスモードで呼び出されるとNullPointerException
をスローするように実装されました。 このリリースからはHeadlessException
をスローするように変更され、ヘッドレスモードでは実行できない操作であることを示すようになりました。
新規の setUI および getUI メソッド
この変更に関連するバグレポート: 4226238.
setUI
/getUI
メソッドは、その Look & Feel がプラグイン可能な Look & Feel (plaf) で定義される場合でも、実装されていませんでした。 たとえば、javax.swing.plaf.basic.BasicPanelUI.java
を参照してください。
JTabbedPane 内の新規 indexAtLocation メソッド
この変更に関連するバグレポート: 4241787.
この変更以前は、クライアントプログラムに、座標で示す位置をタブ付きペイン内の特定のタブへ変換する方法がありませんでした。 このため、
JTabbedPane
でタブの上へメニューをポップアップさせるなどの特殊なイベント処理を実装することが困難でした。indexAtLocation メソッドが a href="../../api/javax/swing/JTabbedPane.html">
JTabbedPane
に追加されました。JTabbedPane 内のタブへアクセスするための新規ニモニックサポート
この変更に関連するバグレポート: 4284674.
JTabbedPane
の各ペインでは、以前はニモニックが使用できませんでした。 この問題の解決のために、getDisplayedMnemonicIndexAt
およびsetDisplayedMnemonicIndexAt
が追加されました。JTabbedPane にスローされる例外に一貫性ができた
この変更に関連するバグレポート: 4287053.
JTabbedPane
クラスは、多くのメソッドを保有するコンテナであり、パラメータとして整数のインデックスをとります。 これらのメソッドには、残念なことに例外のスローに一貫性がありませんでした (チェック/スローするメソッドもあれば、しないメソッドもある)。 さらに、javadoc にも誤りがあり、基盤となるVector
によって実際にはArrayIndexOutOfBoundsException
がスローされる場合に、IllegalParameterException
がスローされると記述されていました。0 から「タブ数 - 1」までの有効な範囲内になければならないインデックスをとるすべてのメソッドは、現在は、
IndexOutOfBoundsException
をスローすると記述されています (注 - 互換性をとるという理由から、基盤のコードでは引き続きArrayIndexOutOfBoundsException
がスローされる)。ドキュメントが次のように変更されました。
* @exception IndexOutOfBoundsException if index is out of range * (index < 0 || index >= tab count)これは、次のJTabbedPane
メソッドに適用されます。public String getTitleAt(int index) public Icon getIconAt(int index) public Icon getDisabledIconAt(int index) public String getToolTipTextAt(int index) public Color getBackgroundAt(int index) public Color getForegroundAt(int index) public boolean isEnabledAt(int index) public Component getComponentAt(int index) public int getDisplayedMnemonicIndexAt(int index) public Rectangle getBoundsAt(int index) public void setTitleAt(int index, String title) public void setIconAt(int index, Icon icon) public void setDisabledIconAt(int index, Icon icon) public void setToolTipTextAt(int index, String toolTipText) public void setForegroundAt(int index, Color foreground) public void setBackgroundAt(int index, Color background) public void setEnabledAt(int index, boolean enabled) public void setComponentAt(int index, Component component) public void setDisplayedMnemonicIndexAt(int tabIndex, int mnemonicIndex)同じ例外処理が、以前は何も実行しなかった以下のメソッドに追加されました。
public void setSelectedIndex(int index) public void remove(int index)
DefaultTableModel.moveRow の仕様が明快になった
この変更に関連するバグレポート: 4144295.
JDK 1.3 では、
DefaultTableModel
のmoveRow
メソッドが明快に説明されていませんでした。つまり、startIndex
の行またはendIndex
の行がtoIndex
で終了するかどうかが、はっきり定義されていませんでした。 例から類推すると、行を下方に移動するときはstartIndex
がtoIndex
で終了し、行を上方へ移動するときはendIndex
がtoIndex
で終了することが明白です。つまり、
moveRow
の実装にはバグがあります。移動する行が複数になると、行の移動終了の位置は不定であり、移動の後に行が連続しないことさえあります。 バグ 4144295 には、実装が仕様にある例さえも正しく実行しないとあります。特に、moveRow(1, 3, 5)
の例は、以下の状態でベクトルを残します。a|C|e|B|D|f|g|h|i|j|k新しい実装では、この操作は入力から計算できる境界間の要素の単純なローテーションであるとみなします。以前の実装が作用しなかったため、これまでの定義を単純化する機会が与えられました。
startIndex
は常にtoIndex
に移動し、toIndex
以降のすべての要素は元のままの順序に並ぶと定義されました。 この定義により、単一行の移動という、前の実装で唯一正しく作用した例と同じ操作が実行されます。新しい実装では、
endIndex
がstartIndex
より小さい場合に例外はスローされません。その代わり、すべての行r
を移動する暗黙の規約、つまりstartIndex <= r <= endIndex
が満たされても、何も実行されません。JTable への入力でフォーカスがセルに転送されるようになった
この変更に関連するバグレポート: 4274963.
Excel アプリケーションでは、ユーザが英数字キーを押すと、フォーカスが自動的に基盤エディタに移動します。 これと同じ動作を
JTable
内でも実装してほしいという、200 を超える JDC 要求がありました。 下位互換性を考慮するという理由からデフォルトの動作を変更することはできませんが、この要求に対処するために、このリリースで新しいsurrendersFocusOnKeystroke
プロパティを追加しました。 新規メソッドのsetSurrendersFocusOnKeystroke
およびgetSurrendersFocusOnKeystrok
で、この機能がサポートされます。 デフォルトの動作は変更されていません。DefaultTableModel で name 引数に null も指定できるようになった
この変更に関連するバグレポート: 4474094.
これまで、
DefaultTableModel.addColumn(Object)
メソッドとDefaultTableModel.addColumn(Object, Vector)
メソッドでは、name
引数にnull
を指定することはできず、IllegalArgumentException
がスローされていました。 コンストラクタを使用したり、フィールドを直接操作したりする方法では列名にnull
を設定できるため、addColumn
メソッドでもnull
値を指定できるように変更されました。
DefaultTreeModel で null のルートが使用できるようになった
この変更に関連するバグレポート: 4264897.
DefaultTreeModel
では、null
のルートノードが使用できるようになりました。 以前、TreeModel
の javadoc には、null
のルートは有効であるが、DefaultTreeModel
では許可されないと指定されていました。DefaultTreeModel
では現在、null
のルートが、コンストラクタ内のnull
のルートと同様に設定可能です。setRoot
の javadoc は、この変更を反映して改訂されました。頭文字ナビゲーションが JTree へ追加された
この変更に関連するバグレポート: 4284709.
ユーザにとっては、
JTree
内で英数字キーを使用してセルをナビゲートしたい場合がしばしば発生します。 そのため、getNextMatch
メソッドがJTree
に追加されました。BasicTreeUI
によって、キーボードでキーが入力されたときにこのメソッドを呼び出すKeyListener
がインストールされます。
ListDataEvent.toString で有用な情報が提供されるようになった
この変更に関連するバグレポート: 4134085.
開発者はしばしば、有用なデバッグ情報を求めて
toString
を使用します。 ただしこれまでは、ListDataEvent
のtoString
メソッドでは、真に有用な情報が提供されませんでした。 このリリースで、有用な情報を返すように変更されました。JList で頭文字キーによるナビゲーションがサポートされるようになった
この変更に関連するバグレポート: 4284709.
ユーザにとっては、
JList
内で英数字キーを使用してセルをナビゲートしたい場合がしばしば発生します。 このため、getNextMatch
がJList
に追加されました。BasicListUI
によって、選択範囲を変更するためにキーが入力されたときにこのメソッドを呼び出すKeyListener
がインストールされます。JList の項目を水平に配置できるようになった
この変更に関連するバグレポート: 4460016.
これまで
JList
では、次のように、セルを垂直にしかレイアウトできませんでした。1 2 3 4多くのユーザが、次に示すように、リストを水平にレイアウトできる機能を求めていました。
1 3 2 4または1 2 3 4この機能を実現するために、
VERTICAL
、VERTICAL_WRAP
、およびHORIZONTAL_WRAP
という 3 つの定数がJList
に追加されました。getLayoutOrientation
メソッドとsetLayoutOrientation
メソッドもJList
に追加されました。JList
のgetScrollableTracksViewportHeight
、getScrollableTracksViewportWidth
、getScrollableBlockIncrement
、およびgetPreferredScrollableViewportSize
の各メソッドについて javadoc が更新されました。 同様に、javax.swing.plaf.basic.BasicListUI
内のgetPreferredSize
についての javadoc も更新されました。
Look & Feel が無視できるプロパティについてのドキュメント
この変更に関連するバグレポート: 4420209.
Look & Feel の実装の種類によっては、Look & Feel に影響を与える可能性がある一定のプロパティを無視することができます。 このリリースでは、ある種の Look & Feel に無視されるプロパティを示すために、一定のメソッドについてのドキュメントが変更されました。 また、
UIManager
のクラス仕様およびjavax.swing.plaf.metal
パッケージのドキュメントが、Java Look & Feel をデフォルトの Look & Feel に指定するために変更されました。 この変更は、ドキュメントにだけ影響します。影響を受けるメソッドには、次のものがあります。
javax.swing.AbstractButton
javax.swing.JButton
javax.swing.JCheckBox
javax.swing.JColorChooser
javax.swing.JComboBox
javax.swing.JFileChooser
javax.swing.JInternalFrame
javax.swing.JList
javax.swing.JPopupMenu
javax.swing.JProgressBar
javax.swing.JSplitPane
javax.swing.JTable
javax.swing.text.JTextComponent
javax.swing.JToolBar
javax.swing.JTree
SwingConstants で NEXT と PREVIOUS を定義するようになった
この変更に関連するバグレポート: 4175466.
SwingConstants
で、Swing 全体で使用される定数を定義します。 一般的な UI 操作に、シーケンス内の次と前の項目の位置指定があります。これは、現在はSwingConstants
で、NEXT
およびPREVIOUS
の定数を定義することで指定されます。Swing 以外のコンポーネントから Swing コンポーネントのバインドを処理する新しい方法
この変更に関連するバグレポート: 4344900.
Swing には、特定のキーストロークに関連付けられたアクションをサポートする精巧なインフラストラクチャがあります。 つまり、ユーザがある文字を入力すると、該当するアクションが実行されます。 これらのイベントの処理は、
JComponent.processKeyEvent
内から引き起こされます (processKeyEvent
はjava.awt.Component
からオーバーライドされる)。 これらのアクションの処理はJComponent
内で発生するため、以前は開発者にとって、フォーカスを取得しているJComponent
以外のサブクラス内からバインドを処理する方法がありませんでした。 このため、processKeyBindings
メソッドがSwingUtilities
に追加されました。Swing コンポーネントの音声フィードバック
この変更に関連するバグレポート: 4290988.
注:サウンドパッケージにいくつかバグがあるため、デフォルトでは、サウンドは再生されません。 サウンドを有効にするには、次のようにします。
UIManager.put("AuditoryCues.playList", UIManager.get("AuditoryCues.allAuditoryCues"));以前の Swing コンポーネントでは、多くのプラットフォームでのネイティブコンポーネントとして、同じ音声フィードバックが提供されませんでした。 Swing の PLAF への変更セットである MALF2 は、主として、出力専用のノンスピーチオーディオユーザのフィードバック機構としての使用を目的としています。 MALF2 プロジェクトは、Swing/JFC および、基盤プラットフォームでの厳密なユーザインタフェース統合という、Java プラットフォームの目標の視点から重要です。 MALF2 プロジェクトでは、ネイティブアプリケーションと Swing/JFC アプリケーションによるユーザの経験が、音声によるユーザへのフィードバックに関して同一であることを保証します。
この実装は、API を
BasicLookAndFeel
に追加して、サウンドを再生するAction
を含むActionMap
のロードをサポートすることが目的としています。 これで、サウンドの再生に適切なときに、多様なBasicComponentUI
の実装がAction
に対してactionPerformed
を呼び出します。 たとえば、BasicMenuItemUI
では、doClick
を使用してアクションを実行します。BasicLookAndFeel
が Java Sound API を使用してサウンドを再生している間に、サブクラスが代替のメソッドを使用することができます。 たとえば、WindowsLookAndFeel
は Windows で提供されるサウンドとの統合を図るために、Toolkit.getDefaultToolkit().getDesktopProperty()
経由で String をRunnable
にマッピングします。サウンドを含む
ActionMap
へは、BasicLookAndFeel.getAudioActionMap
経由でアクセスできます。getAudioActionMap
が最初に呼び出されるときに、以下の動作が実行されます。
- ロードするサウンドのリストを判断するために、デフォルトのエントリ
auditoryCues.cueList
(Object[]
) が使用される。- 配列内の各エントリが
createAudioAction
に渡され、サウンドの再生を行うAction
を取得する。BasicLookAndFeel.createAudioAction
に渡されたObject
が使用されて、Java Sound でロードできるデフォルトのテーブルからサウンドファイルへのパスが検索される。BasicComponentUI
クラスの 1 つがサウンドの再生を希望したときは、Action
内で渡されてBasicLookAndFeel.playSound
が呼び出される。Action
の名前がデフォルトのエントリAuditoryCues.playList
に含まれていた場合は、BasicLookAndFeel.playSound
がAction
でactionPerformed
を呼び出す。このアーキテクチャによって、開発者は再生するサウンドをさまざまな方法でカスタマイズできます。
- 特定の
JComponent
に関連付けられたサウンドは、たとえば次のように、JComponent
に関連するActionMap
内のAction
を変更することで、操作することができる。ActionMap map = menuItem.getActionMap(); map.put("MenuItem.commandSound", differentActionToPlaySound);- 特定の型の
Component
すべてに使用されるサウンドは、たとえば次のようにして、デフォルトのテーブルを操作して変更できる。UIManager.put("MenuItem.commandSound", "pathToNewSoundFild");- カスタムの Look & Feel を作成中に、
BasicLookAndFeel
メソッドの 1 つをオーバーライドして、代替の方法でサウンドをロードするか、または別の方法でサウンドを再生することもできる。それとは別に、再生するサウンドのセットをデフォルトエントリの
AuditoryCues.playList
経由で操作することもできます。 このObject
配列には、デフォルトのテーブル内で再生するサウンドを示すキーが含まれます。MetalLookAndFeel
では、これを次のように定義します。new Object[] {"OptionPane.errorSound", "OptionPane.informationSound", "OptionPane.questionSound", "OptionPane.warningSound" }
この定義は、JOptionPane
がサポートするサウンドのみを有効にする効果があります。JMenu がフォーカスの新規アーキテクチャが作用するように更新された
この変更に関連するバグレポート: 4371580.
新しいフォーカスアーキテクチャは、RFE 4290675 の要請で導入されました。これにより、フォーカスの一時的な変更を開発者が要求できるようになります。 要求は、
Component
の protectedrequestFocus(boolean)
メソッドまたはrequestFocusInWindow(boolean)
メソッドを通じて行われます。 この 2 つのメソッドは、汎用でなく Swing などの軽量ツールキットのみに対する実装用として保護されています。 Swing は、さまざまなパッケージ内のコードが一時的にフォーカスを要求するという方法でアーキテクチャ化されています。つまり、すべての Swing コンポーネントの親クラスであるJComponent
は、requestFocus(boolean)
およびrequestFocusInWindow
を public として公開する必要があります。コンポーネントのツリー内で ComponentOrientation を変更する新規サポート
この変更に関連するバグレポート: 4337186.
大量の Swing コンポーネントを
ComponentOrientation
プロパティに注意を払いつつ取り扱う過程で、次は、コンポーネントの階層全体のComponentOrientation
の設定を簡単に管理できるようにする 2 つの機能が必要になります。SwingUtilities
の新規メソッドであるapplyComponentOrientation(Component c, ComponentOrientation o)
を使用すると、コンポーネントの階層全体に一貫したComponentOrientation
を設定することが簡単になります。デスクトップ関連のプロパティへの新規アクセス
この変更に関連するバグレポート: 4290973.
Windows Look & Feel の更新の一部として、メソッドが
LookAndFeel
とgetDesktopPropertyValue
に追加され、デスクトップ関連のプロパティにアクセスしやすくなりました。コンポーネントのインセットによるオフセット矩形に対する新規メソッド
このメソッドは、実際には不確定な状態をサポートするために、
JProgressBar
の更新の一部として追加されました。 この変更に関連するバグレポート: 4290717.新しいメソッドは、
SwingUtilities
に追加されたcalculateInnerArea(Component, Rectangle)
です。マウスホイールのための新規 API
この変更に関連するバグレポート: 4356268.
マウスの中央ボタンとしてスクロールホイールが付いたホイールマウスは、一般的になりつつあります。 この提案では、マウスホイールを使用してスクロールさせる組み込みの Java サポートのほかに、新しいホイールイベントリスナーも提供されるので、マウスホイールの動作を開発者がカスタマイズできるようになります。
新しいクラスである
MouseWheelListener
と、新しいインタフェースであるMouseWheelEvent
が追加されました。 また、定数のMOUSE_WHEEL_EVENT_MASK
がAWTEvent
に追加されました。AWTEventMulticaster
には、mouseWheelMoved
、add
、およびremove
の 3 つの新しいメソッドがあります。Component
には、addMouseWheelListener
とremoveMouseWheelListener
の 2 つの新しいメソッドがあります。ScrollPane
にも、setWheelScrollingEnabled
とisWheelScrollingEnabled
の 2 つの新しいメソッドがあります。 最後に、Robot
にも新しいメソッドのmouseWheel
があります。JFrame、JDialog、および JApplet が processKeyEvent をオーバーライドしなくなった
この変更に関連するバグレポート: 4462408.
Swing は、
JComponent
にキーバインディングを登録するオプションをサポートしています。 以前のリリースでは、Swing のトップレベルのコンポーネント (JFrame
、JDialog
、およびJApplet
) の 1 つにフォーカスがある場合、キーバインディングを有効にするには、これらのトップレベルのコンポーネントでprocessKeyEvent
(java.awt.Component
で定義されている) をオーバーライドする必要がありました。java.awt.KeyEventPostProcessor
が追加され、Swing でこれを利用することにより (RFE 4389332)、Swing のトップレベルのコンポーネントでこれらのメソッドをオーバーライドする必要はなくなりました。 このリリースでは、これらのメソッドはトップレベルから削除され、継承されるようになりました。JWindow コンストラクタのヘッドレス例外に関するドキュメント
この変更に関連するバグレポート: 4483258.
このリリースではヘッドレスモードが追加されましたが、
JWindow
の 2 つのコンストラクタで、HeadlessException
がスローされる可能性が示されていませんでした。Window(Window, GraphicsConfiguration)
およびJWindow(GraphicsConfiguration)
の javadoc で、この点が修正されました。入力ベリファイアの既知のバグ
この変更に関連するバグレポート: 4532517.
一部のユーザに問題を発生させている入力ベリファイアのバグが最近発見されました。 1.4 の
shouldYieldFocus
メソッドでは、OptionPane
をポップアップさせるなどの副作用は許可されません。これには、次のような回避策があります。
public boolean shouldYieldFocus(JComponent input) { if (verify(input)) { return true; } // According to the documentation, should yield focus is allowed to cause // side effects. So temporarily remove the input verifier on the text // field. input.setInputVerifier(null); System.out.println("Removed input verifier"); // Pop up the message dialog. String message = "Roll over the 'JButton1' with mouse pointer " + "after closing this dialog.¥nIt sometimes behaves correctly " + "for the first time¥n but repeating action brings incorrect " + "behaviour of button."; JOptionPane.showMessageDialog(null, message , "invalid value", JOptionPane.WARNING_MESSAGE); System.out.println("Showed message."); // Reinstall the input verifier. input.setInputVerifier(this); System.out.println("Reinstalled input verifier"); // Tell whomever called us that we don't want to yield focus. return false; }
RootPaneUI の複数の新規実装
この変更に関連するバグレポート: 4338458.
javax.swing.plaf.multi
内のクラスは、複数の Look & Feel を多重化するために使用されます。 このクラスは通常、聴覚情報などの追加情報を提供するための補助 Look & Feel を使用するユーザ補助機能として使用されます。 現在のところ、補助 Look & Feel の使用を不安定にするRootPaneUI
の複数の実装はありません。新規クラスの
javax.swing.plaf.multi.MultiRootPaneUI
が追加されました。ウィンドウ装飾を提供する Look & Feel のサポート
この変更に関連するバグレポート: 4290471.
AWT では最近、
Window
の装飾を取り除く API を提供しました。 つまり、非装飾に設定されている場合、ウィンドウを閉じたり、移動したり、サイズを変更したりするときに、Window
はどのようなウィジェットも描画もしません。 その意味で、Swing では Look & Feel 機能がウィンドウの装飾を描画できるようになりました。この機能は主として
javax.swing.JRootPane
でサポートされますが、javax.swing.JFrame
およびjavax.swing.JDialog
で提供されるスイッチを使用することをお勧めします。次の変更が
JRootPane
に対して行われました。public static final int NONE; public static final int FRAME; public static final int PLAIN_DIALOG; public static final int INFORMATION_DIALOG; public static final int ERROR_DIALOG; public static final int COLOR_CHOOSER_DIALOG; public static final int FILE_CHOOSER_DIALOG; public static final int QUESTION_DIALOG; public static final int WARNING_DIALOG; public void setWindowDecorationStyle(int style) public int getWindowDecorationStyle()すべての Look & Feel がウィンドウの装飾スタイルをサポートするわけではないので、
getSupportsWindowDecorations
メソッドがjavax.swing.LookAndFeel
に追加されて、Look & Feel がこの動作をサポートするかどうかを示す方法が提供されました。
isDefaultLookAndFeelDecorated()
および setDefaultLookAndFeelDecorated メソッドがJFrame
に追加されました。また、
isDefaultLookAndFeelDecorated()
および setDefaultLookAndFeelDecorated メソッドがJDialog
に追加されました。
JScrollBar が setUI をオーバーライドするようになった
この変更に関連するバグレポート: 4213298.
JScrollBar
は以前、setUI
メソッドをオーバーライドしませんでした。 このリリースでは、オーバーライドするように変更されました。
JScrollPane の新規 MouseWheelListener のサポート
これは、マウスホイールのサポートの一部として実装されました。 ここでは、
JScrollPane
に対する変更だけを説明します。その他の変更に関する詳細は、このセクションを参照してください。 この変更に関連するバグレポート: 4356268.
isWheelScrollingEnabled
およびsetWheelScrollingEnabled
メソッドがJScrollPane
に追加されました。新しい保護された内部クラスの
MouseWheelHandler
がjavax.swing.plaf.basic.BasicScrollPaneUI
に追加されました。 この内部クラスに関連するメソッドは、mouseWheelMoved
です。 また、新しいcreateMouseWheelListener
メソッドがBasicScrollPaneUI
に追加されました。
新規 VolatileImage のサポート
この変更に関連するバグレポート: 4363288.
Java 2D チームでは、
Image
のグラフィックスとスクリーン組み立て操作にハードウェア高速化を利用できる、新しいVolatileImage
機構を実装しました。特に指定しない限り、Swing はダブルバッファを使用して GUI コンポーネントの内容をペイントします。これは、オフスクリーンイメージへ描画して、その後そのイメージをスクリーンにコピーすることで行われます。この過程が、新しい
VolatileImage
サポートを利用するために変更されました。ペイントを実行するために Swing が使用するダブルバッファは、
getOffscreenBuffer
メソッドを使用してRepaintManager
から取得します。VolatileImage
オブジェクトには失敗条件をテストするための特殊な操作が必要なため、VolatileImage
を返すこのメソッドを簡単に変更することはできませんでした。それは、このメソッドを呼び出す既存のコードが存在する可能性があり、この追加の処理が実装されていないためです。 したがって、特にVolatileImage
オブジェクトを返すために、getVolatileOffscreenBuffer
メソッドがjavax.swing.RepaintManager
に追加されました。
新しい SpringLayout クラス
この変更に関連するバグレポート: 4290203.
このリリースでは、新しいレイアウトマネージャ
SpringLayout
が導入されました。
SpringLayout
の使用例については、Java チュートリアルの「How to Use SpringLayout」を参照してください。
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