分散アプリケーションの概念

ここでは以下について説明します。

• 多層アプリケーション
• ユーザインタフェース層
• サービス (サーバ) 層
• データ格納 (データベース) 層

従来のエンタープライズアプリケーションの大半は、相互のプロシージャやデータへ制限付きのアクセスを行う自己完結型のモノリシックなプログラムでした。それらは、多くの場合、単純な変更でもプログラム全体の再コンパイルと再テストが必要なため、構築が困難で保守に高額の費用がかかりました。

一方、CORBA のような分散オブジェクトを使って構築したアプリケーションは、多層アーキテクチャに順応しているため、複数の重要事項をきちんと分割することを可能にします。3 層のアプリケーションには、ユーザインタフェースコード層、計算コード (ビジネスロジック) 層、データベースアクセス層が含まれます。各階層間のやり取りは、すべて、各 CORBA オブジェクトの発行するインタフェースを通じて行われます。下の図は、モノリシックなアプリケーションから多層かつモジュール化したアプリケーションへの推移を示します。

ユーザインタフェース層は、ユーザとインタラクティブなやり取りを行う階層です。この階層は、組織全体を通じた効率的なユーザインタフェースの設計と使いやすさに焦点を当てています。ユーザインタフェース層は、ユーザのデスクトップ、組織のイントラネット、World Wide Web (インターネット) 上に存在します。同一のサーバにアクセスするのに、異なるいくつかのユーザインタフェースの実装が使用されることもあります。ユーザインタフェース層は、通常ビジネスロジック層のメソッドを呼び出すことにより、ビジネスロジックサーバのクライアントとして機能します。

サービス (サーバ) 層

サービス層またはビジネスロジック層は、クライアントコードとやり取りをするサーバベースのコードです。ビジネスロジック層は、ビジネスオブジェクトで構成されています。ビジネスオブジェクトとは、在庫管理、予算、販売注文、請求書作成等の論理ビジネス機能を担う CORBA オブジェクトを指します。これらのオブジェクトは、データ格納層のオブジェクトのメソッドを呼び出します。

データ格納 (データベース) 層

データ格納層は、データベースルーチンをカプセル化したオブジェクトで構成され、DBMS 製品と直接対話を行います。たとえば、get_Sales_Sum というメソッドを作成し、適切な SQL の SELECT 文を使ってリレーショナルデータベースからデータを取得するようにこのメソッドを実装することができます。