AXNミステリーにて先行放送に続いて一挙放送をしたイギリスカントリー、ウェールズの刑事ドラマ『ヒンターランド』を観始めました。
ドラマのCMを観た時に北欧のような冷たい雰囲気の景色や街並みが表現されており、これが好印象だったことから観始めましたが、なかなかドラマの内容も良く、流石ミステリーものに強いイングランド系ドラマといった感じです。
それとドラマのストーリーとはまったく関係ありませんが、このドラマの撮影監督がなかなか秀逸でして作中の画質が非常に良いです。
まだ第一話しか観ていませんが、その第一話の中でのワンシーンで主人公の刑事とその部下の女刑事、犯人と医師との4人で尋問する室内シーンでのカラーバランスがなかなか綺麗で犯人の肌色に温かみや肌色独特の透明感を感じられるほどのものでした。
所々でヨーロッパならではの冷たい風景を表現する為に基本は淡白な色彩に設定されているのですが、シーンによって青を僅かに乗せ、これが嫌みのない程度の乗せ方で上手いと思います。
そんな中でも原色だけはしっかりと色を乗せるようにしてあり、女性刑事の淡い赤のジャケットやブルーのダウンジャケットなど色乗りに階調を残しつつ、冷たい風景にワンポイント加えるような表現をしています。多分これには小さいながらも何か意味がありそうですね。
また、所々でレンズの被写界深度を利用した遠近感を上手く利用しており、登場人物への感情移入も高めています。この被写界深度の取り方も上手く、バックの背景を潰さない程度にぼかしながら被写体にビシッとピントを合わせてきており、当方好みの好印象な画でした。
ここ数年、一眼レフやミラーレスカメラブームで受光パネルの大きさやレンズの優位性を理由に、背景のボケを画質の良さに結び付けて商品戦略のひとつとして日本のカメラメーカーは過剰なほどに宣伝していますが、絞り値をむやみやたらに開放付近で撮影して背景をボケボケにしてしまうアホな日本人の素人撮りとは違って、背景の描画を残す程度に綺麗にぼかしているのも好印象でした(撮影のプロなのですから当たり前の話なのですが)。兎に角、被写体とのバランスがいいです。
何でもかんでもそのボケを利用して被写体以外をボケボケに撮影してしまう日本人はこのドラマを観てボケについて勉強してもらいたいものです。
2時間ドラマ、シーズン1全4話の設定ですが、前途の描画に関心がある方やシリアスなミステリードラマを好む方にお薦めなドラマであります。
因みに現地では好評だったようでシーズン2の放映も決まっております。
そうそう、このような描画はソニーのモニターに凄く合うんですよね。