kinit は、Kerberos チケット認可チケット (Ticket Granting Ticket、TGT) の取得とキャッシュに使用されます。このツールの機能は、SEAM や MIT リファレンス実装など、他の Kerberos 実装に一般的に見られる kinit ツールと類似しています。
kinit を実行する前に、Key Distribution Center (KDC) を使用してユーザを主体として登録する必要があります。
kinit [ commands ] <principal name>
デフォルトでは、どの Unix プラットフォームでも、
/tmp/krb5cc_<uid>
というキャッシュファイルが生成されます。<uid>
は、システムにログインしているユーザのユーザ ID 番号です。他のすべてのプラットフォームでは、<USER_HOME>/krb5cc_<USER_NAME>
というキャッシュファイルが生成されます。
<USER_HOME>
は、java.lang.System
プロパティuser.home
から取得されます。<USER_NAME>
は、java.lang.System
プロパティuser.name
から取得されます。<USER_HOME>
が null の場合、キャッシュファイルは現在 kinit を実行しているディレクトリに保存されます。<USER_NAME>
は、オペレーティングシステムのログインユーザ名です。このユーザ名は、ユーザの主体名とは別の名前にすることもできます。 Solaris での一例を挙げると、このキャッシュファイルは/home/duke/krb5cc_duke
となります。ここで、duke
は<USER_NAME>
であり、/home/duke
は<USER_HOME>
になります。デフォルトでは、キータブ名は Kerberos 構成ファイルから取得されます。Kerberos 構成ファイルでキータブ名が指定されていない場合、キータブ名は
<USER_HOME>/krb5.keytab
であると見なされます。コマンド行で
password
オプションを使用する場合、パスワードを指定しないと、kinit からパスワードの入力を要求されます。注:
password
は、テスト目的でのみ用意されています。スクリプトにパスワードを記述したり、コマンド行にパスワードを入力したりしないでください。このようにすると、パスワードが漏洩する危険性があります。詳細は、kinit のマニュアルページを参照してください。
使用方法:
kinit -fp [-c <cache_name>] [-k] [-t <keytab_filename>] [<principal>] [<password>] [-help]
コマンドオプション 説明 -f
転送可能チケットを発行する -p
プロキシ化可能チケットを発行する -c <cache_name>
キャッシュ名 (つまり、 FILE:/temp/mykrb5cc
)-k
キータブを使用 -t <keytab_filename>
キータブ名 (つまり、 /home/duke/krb5.keytab
)<principal>
主体名 (つまり、 duke@java.sun.com
)<password>
主体の Kerberos パスワード。
コマンド行またはスクリプトで指定しないこと-help
説明を表示する
デフォルトサービスについて、現在のクライアントホストから認証に対して有効な資格を要求し、デフォルトの場所 (
/home/duke/krb5cc_duke
) に資格キャッシュを保存します。
kinit duke@JAVA.SUN.COM
異なる主体ごとにプロキシ化可能な資格を要求し、指定したファイルキャッシュにこれらの資格を保存します。
kinit -p -c FILE:/home/duke/credentials/krb5cc_cafebeef cafebeef@JAVA.SUN.COM
異なる主体ごとにプロキシ化可能および転送可能な資格を要求し、指定したファイルキャッシュにこれらの資格を保存します。
kinit -f -p -c FILE:/home/duke/credentials/krb5cc_cafebeef cafebeef@JAVA.SUN.COM
kinit のヘルプメニューを表示します。
kinit -help
password
フラグは、テスト目的でのみ用意されています。コマンド行にパスワードを入力しないでください。パスワードを入力するとセキュリティホールが生じ、たとえば Unixps
コマンドを実行しているときに、そのパスワードが攻撃者によって発見される可能性があります。