付録 5: 完全な例 — Java 拡張機能としての Java Media Framework の配備


このセクションでは、次のトピックについて説明します。

はじめに

ここでは、Java Media Framework (JMF) の単一の JAR ファイルを Java 拡張機能として配備する場合の、実際に動作する完全な例を示します。この例では、SimplePlayerApplet.javajmf.jar を使って .avi メディアファイルを再生します。この例では、raw インストール方法を使って s_my_jmf.jar というファイルをインストールします。これは、jmf.jar を再パッケージ化して署名したものです。通常、他の JAR ファイルも JMF とともにインストールされますが、SimplePlayerApplet.java に必要なのは jmf.jar の機能だけです。

簡単にするために、この例では次のように仮定しています。

インストールする JAR ファイルを作成する

この場合、インストールプログラムはありません。必要な JAR ファイル jmf.jar をダウンロードし、<jre_location>/lib/ext にコピーするだけで済みます。Plug-in と JRE の拡張機能機構の連携によって、インストール処理 (ファイルのダウンロードとコピー) が行われます。

jmf.jar を取得するには、クロスプラットフォームインストール用の zip ファイル jmf-2_1_1a-alljava.ziphttp://java.sun.com/products/java-media/jmf/2.1.1/download.html からダウンロードします。jmf.jar は、他の JAR ファイルとともにこの zip ファイルに含まれているので、そこから抽出できます。

jmf.jar を取得できたら、jmf.jar 自体を C:\plugin\extensions\workspace1 などのディレクトリに抽出します。ここで、manifest.mf ファイルには不要な署名情報が含まれているので、META-INF ディレクトリを削除します。

次に、jmf.jar に基づいて新しい JAR ファイルを作成し、独自のマニフェストファイルを作成します。作成したマニフェストファイルに jmf_manifest という名前を付けます。このファイルを、jar ツールへの入力として指定します。この例で使用されている内容は次のとおりです。

Extension-Name:javax.media.s_my_jmf
Specification-Vendor:Sun Microsystems, Inc
Specification-Version:2.1
Implementation-Vendor-Id:com.sun
Implementation-Vendor:Sun Microsystems, Inc
Implementation-Version: 2.1.1

まず、jmf.jar に含まれていたファイルを新しい JAR ファイルにまとめ、my_jmf.jar という名前を付けます。このファイルに署名し、それに s_my_jmf.jar という名前を付けます。

workspace1 にあるファイルと新しいマニフェストファイル jmf_manifest を JAR ファイルにまとめるために、cd を使って workspace1 ディレクトリに移動し、JDK の jar ツールを次のように使用します。

C:\plugin\extensions\workspace1>C:\j2sdk1.4.0\bin\jar cmf jmf_manifest my_jmf.jar *.class codecLib com javax jmapps

codecLibcomjavax および jmapps は、*.class と同様に JAR ファイルにまとめる必要があるサブディレクトリです。

この例では、jarsigner ツールを使って新しい JAR ファイルに署名します。

thawte.p12 という Thawte キーストアが C:\plugin\keystores にあり、storepasskeypass のパスワードはどちらも mypass であるとします。また、storetype は「pkcs12」、キーストアの別名は「Sun Microsystems Inc.'s Thawte Consulting cc ID」です。この場合、次のように my_jmf.jar に署名して、署名付き JAR ファイル s_my_jmf.jar を作成できます。

C:\plugin\extensions\workspace1>C:\j2sdk1.4.0\bin\jarsigner -keystore C:\plugin\keystores\thawte.p12 -storepass mypass -keypass mypass -storetype "pkcs12" -signedjar s_my_jmf.jar my_jmf.jar "Sun Microsystems Inc.'s Thawte Consulting cc ID"

この新しい署名付き JAR ファイルを次のように検証できます。

C:\plugin\extensions\workspace1>C:\j2sdk1.4.0\bin\jarsigner -verify s_my_jmf.jar

これで、raw インストール用の正しい manifest.mf ファイルを持つ署名付き JAR ファイルが完成しました。

次に、アプレットの JAR ファイルを作成する必要があります。


アプレット JAR ファイルを作成する

このアプレットは単一のファイル SimplePlayerApplet.class で構成されており、メディアファイルの再生に使用されます。アプレットのソースコードを見るには、ここをクリックしてください。ここでは、アプレットのマニフェストファイルを作成して applet_manifest という名前を付け、アプレットとマニフェストを JAR ファイルにまとめてから、それに署名します。

アプレット applet_manifest は次のとおりです。

Extension-List: s_my_jmf 
s_my_jmf-Extension-Name: javax.media.s_my_jmf
s_my_jmf-Specification-Version: 2.1
s_my_jmf-Implementation-Version: 2.1.1
s_my_jmf-Implementation-Vendor-Id: com.sun
s_my_jmf-Implementation-URL: http://java.sun.com/products/plugin/extensions/examples/jmf/s_my_jmf.jar

上記のマニフェストは、拡張機能 JAR ファイル s_my_jmf.jarjava.sun.com Web サーバの http://java.sun.com/products/plugin/extensions/examples/jmf からダウンロードできることを示しています。

SimplePlayerApplet.classapplet_manifestC:\plugin\workspace2 にある場合は、次のコマンドを使ってアプレットとマニフェストを JAR ファイルにまとめることができます。

C:\plugin\extensions\workspace2>C:\j2sdk1.4.0\bin\jar cmf applet_manifest my_SimplePlayerApplet.jar *.class

ここでも、jarsigner を使用して JAR ファイルに署名します。

C:\plugin\extensions\workspace2>C:\j2sdk1.4.0\bin\jarsigner -keystore C:\plugin\keystores\thawte.p12 -storepass mypass -keypass mypass -storetype "pkcs12" -signedjar s_my_SimplePlayerApplet.jar my_SimplePlayerApplet.jar "Sun Microsystems Inc.'s Thawte Consulting cc ID"

このファイルを次のように検証します。

C:\plugin\extensions\workspace2>C:\j2sdk1.4.0\bin\jarsigner -verify s_my_SimplePlayerApplet.jar

これで、署名付きのアプレット JAR ファイル s_my_SimplePlayerApplet.jar が完成しました。そのマニフェストに含まれている情報によって、必要な拡張機能 JAR ファイル s_my_jmf.jar<jre_location>/lib/ext に存在しないか古いバージョンである場合は、インストールがトリガされます。

次に、アプレットの HTML を作成する必要があります。

アプレットの HTML を作成する

いくつかの方法を選択できます。このページにアクセスするユーザのシステムにバージョン 1.3.1_01 以降の Java Plug-in がインストールされていることを前提として、従来の APPLET タグを使用できます(従来の APPLET タグでアプレットを起動するには、バージョン 1.3.1_01 以降の Java Plug-in が必要です)。JDK の bin ディレクトリにある HTML コンバータ (<sdk_location>/bin/HtmlConverter.exe) を使って、アプレットをさまざまな形式に変換することもできます。ここでは、両方の方法を使用します。SimplePlayerApplet-1.html は、従来のアプレット形式を使用します。SimplePlayerApplet-2.html は、OBJECT および EMBED タグについて変換された形式です。OBJECT タグには動的バージョン管理 (clasdid="clsid:8AD9C840-044E-11D1-B3E9-00805F499D93")、Plug-in 1.4.2 の EMBED タグには type="application/x-java-applet;jpi-version=1.4" が指定されます。

2 つの形式は次のとおりです。

SimplePlayerApplet-1.html

<html>
<head>
<title>SimplePlayerApplet</title>
<meta http-equiv="Content-Type" content="text/html; charset=iso-8859-1">
</head>
<body bgcolor="#FFFFFF" text="#000000">
<applet code="SimplePlayerApplet.class" archive="s_my_SimplePlayerApplet.jar" width=320 height=300>
<param name="file" value="0720crt1.avi">
</applet>
</body>
</html>

SimplePlayerApplet-2.html

<html>
<head>
<title>SimplePlayerApplet</title>
</head>
<body bgcolor="#FFFFFF" text="#000000">
<!--"CONVERTED_APPLET"-->
<!-- HTML CONVERTER -->
<OBJECT
     classid = "clsid:8AD9C840-044E-11D1-B3E9-00805F499D93"
     codebase = "http://java.sun.com/products/plugin/autodl/jinstall-1_4-windows-i586.cab#Version=1,4,0,0"
     WIDTH = 320 HEIGHT = 300 >
     <PARAM NAME = CODE VALUE = "SimplePlayerApplet.class" >
     <PARAM NAME = ARCHIVE VALUE = "s_my_SimplePlayerApplet.jar" >
     <PARAM NAME = "type" VALUE = "application/x-java-applet;version=1.4">
     <PARAM NAME = "scriptable" VALUE = "false">
     <PARAM NAME = "file" VALUE="0720crt1.avi">

<COMMENT>
<EMBED
     type = "application/x-java-applet;version=1.4"
     CODE = "SimplePlayerApplet.class"
     ARCHIVE = "s_my_SimplePlayerApplet.jar"
     WIDTH = 320
     HEIGHT = 300
     file ="0720crt1.avi"
     scriptable = false
     pluginspage = "http://java.sun.com/products/plugin/index.html#download">
<NOEMBED>

</NOEMBED>
</EMBED>
</COMMENT>
</OBJECT>

<!--
<APPLET CODE = "SimplePlayerApplet.class" ARCHIVE = "s_my_SimplePlayerApplet.jar" WIDTH = 320 HEIGHT = 300>
<PARAM NAME = "file" VALUE="0720crt1.avi">

</APPLET>
-->

<!--"END_CONVERTED_APPLET"-->

</body>
</html>


メディアファイルは 0720crt1.avi です。

この例では、java.sun.com Web サーバーの http://java.sun.com/products/plugin/extensions/examples/jmf に、次のファイルが置かれています。

例をテストする

次のどちらかのボタンを押して設定をテストできます。

ブラウザに URL を指定すると、まずアプレット JAR ファイルがダウンロードされ、キャッシュされます。拡張機能がインストールされていない場合は、「The applet requires the installation of optional package "javax.media.s_my_jmf" from http://java.sun.com/products/plugin/extensions/examples/jmf/s_my_jmf.jar」という Java Security Warning ダイアログが表示されます。[Grant this session][Deny]、または [Grant Always] を選択できます。インストールのアクセス権を付与すると、拡張機能が <jre_location>/lib/ext にインストールされ、アプレットが実行されます。