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日本の映画、ドラマも良いかも その1

2016.05.12 06:52

当方、あまり日本の映画やドラマは観ない方なのだが、今年初めの四半期の海外ドラマで面白そうなものが無く、『THE BLACKLIST』を加えて2~3本程度しか観るものが無かったので、合間にネットで配信されている国内のドラマや映画を観てみることにした。

ただ、作品数があまりにも多いことから観直したいドラマや映画、自分の好みに合いそうなものを厳選し、更にここ4~5年程度の作品に的を絞って観るようにした。

先ず最初に最近ネットの動画ニュースなどでよく出演されている百田尚樹氏著作の『永遠の0』の評判をよく耳にしていたことから、その映画から観てみることにした。 また、その流れから去年テレビ東京開局50周年に加えて戦後70年の節目としてテレビ版も放映されたので、そちらも観てみた。
続き
主演の岡田准一(映画版)の演技もさることながら、やくざの元幹部役の田中泯と元零戦パイロットで末期がんの病人役を演じた橋爪功の両演技が秀逸。 この二人の演技は自然と役者の語りに引き込まれて行く。

映画版では朝日新聞が協賛していたので原作にあった新聞叩きの場面は合コンの場に置き換えられ、その内容は同級生との会話の中で『特攻は自爆テロと同一のもの』だけが演出されていたが、テレ東で放映されたドラマ版では朝日新聞が関係していなかったことからきちんと新聞叩きも演出放映されており、自爆テロと同一という語りに加えて決して軍部全体が戦争へと導いたことではなく、メディアが国民と一部若年将校を参戦へと煽ったことも語られていた。

少々残念なのは主人公の妻役に映画版は井上真央が演じ、ドラマ版では多部未華子が演じたが、終戦後の末端生活の泥臭さは多部未華子の方が合っているように感じた。 勿論、演技力は井上真央の方が良いのだが、バラックに住む井上真央の姿がふくよかで綺麗過ぎて場違いに感じてしまった。

それと両作品ともにエンドクレジットのバックに使われたエンディング曲にボーカルは必要ないと感じた。 日本の作品はテーマ曲を敢えて添える傾向にあるが、はっきり言って必要ない。 特に海外映画で作品とは無関係な日本人アーティストを充ててテーマ曲として作品と共に宣伝していることが多々あるが、その作品に対して関係のない楽曲を添えることにまったく意味はない。 只々、邪魔なだけである。

この手の作品のエンディングはボーカル無しの楽曲だけを流して静かに終わらせる方が遥かに作品の印象を高めることに繋がると当方は思う。

このような作品を手掛ける人間は『シンドラーのリスト』などをよく観た方がよい。 映画は一にストーリー、二と三に映像と音楽とを上手くバランスさせているのが本来良い作品とされるし当方もそう思うが、実はフィクションであってもドキュメンタリー的な作品では、良い作品ほど BGM が殆んど使われていないことが多い。 物語で作中に引き込ませて静かにフェードアウトさせる方が、心の芯に響き作品に重厚さが増すのである。

両作品を観た今回(音楽の話は抜きにして)、その重厚さは映画版が遥かに良く、橋爪功が主人公を語るシーンから自然と涙がこぼれて最後まで止まらなかった。 また、終盤の夏八木勲の語りで両親の両祖父を思い出して更に胸が熱くなった。(どちらも戦争経験者)

『私たちだけが特別なのではない。 あの時代、一人ひとりにそんな物語があった。 みんなそれぞれ胸に秘めて何事もなかったように生きているんだ。 それが戦争で生き残ったということなんだ。』

このセリフで亡き祖父が戦争について一切語らなかったことの意味が、上手く言葉にはできないが僅かでも理解できたように感じた。

最後に視聴率は悪く賛否両論であったが、原作に近いのはドラマ版の方なので、補足としてこちらも観ておいた方が良いと当方は感じた。

また、作中で真珠湾攻撃やミッドウェー海戦の話が語られるが、役所広司演じる『聯合艦隊司令長官 山本五十六』で裏事情が僅かであるが脚本に盛り込まれているので、合わせて観るのも良いと思う。

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