車好きが高じて工具に拘るようになりましたが、実は意外なものがお気に入りだったりします。
専門学校生時代からガソリンスタンドなどでバイトをして、知人のガソリンスタンドなどにも出入りをし、 KTC の工具からその高級ブランドであったミラーツール、車関係の仕事に携わり、 Snap-on から MAC TOOLS と色々と手に取り使用してきました。ある程度作業ができるようにとプライベート工具も幾つか所持もしています。
工具とはやはり人が扱う道具であって、個人的な好みが大きく左右されます。勿論、それは信頼性に加えて使い易さからくるものであり、また各個人の手の大きさや器用さなども深く絡んできます。
このことを踏まえると一概に高級なブランド工具が良いというわけではなく、特にアメリカブランドであるSnap-onやMAC TOOLSなどは、日本の工業分野では企画違いから使い難かったりもします。
実は意外に安価な工具である VESSEL の方が使い易かったりもします。
実際、我々の間では「叩けるベッセル」と愛称をつけて、雑に扱う場合はこちらを使うことが多いです。なにせ多少荒く使っても本当に壊れない工具なので。
さてそんな中、自分がもっとも使い易く大事に使っているのは、実はSnap-onやMAC TOOLSではなく、ノーブランドのドライバーだったりします。
身の回りに置いてあるドライバーの中にKTCもあるのですが、こちらの方が圧倒的に軽くグリップの太さが絶妙で回し易いです。
因みに、車用の工具はSnap-onにMAC TOOLSやPBといった海外ブランドを使用しています。この理由は永久保証であることと、車業界に居た時は外車を扱うことも多かった為です。
このドライバー、実の弟が若かりし頃、一時期整備工場で働いていた時に譲り受けたもので、のちに工場を辞めてから家に放置してあったものを室内でちょこっと作業する時に自分が使っていました。彼是30年近くも前の工具になると思います。
造形もよく考えられており、グリップの根本を持って回したり、全体を握って回すなど、それぞれの使い方で使い易いように工夫されています。
またシャフト部分は微妙に弾力且つ粘りのある金属で、力の加減がし易くなっています。ネジの頭とのフィット感も今のドライバーでは得られない精度を持っています。
特に便利なのがシャフト部分の滑り止めです。ネジをネジ穴に合わせてこの滑り止め部分を指で摘まんで回すと、長いネジも難なく仮止めまで持って行けます。この時のシャフトの太さも絶妙に作られています。またこの滑り止めは油塗れの指でも滑らず確実にドライバーを回すことができます。
ノーブランドのドライバーながら、ここまで使い易いドライバーを超えるものは未だ現れていません。ノーブランドでありながらもここまで拘ったこのドライバーを見ると、流石Made in Japanだなぁと感心させられます。
このドライバーはNO.2なのですが、もしもNO.1やNO.3が見付けられることがあるならば、手に入れて手元に置いておきたい一品です
昔の工業製品は本当に良いものがありましたね。
追記
この工具の詳細を思い出しました。この+ドライバーは昭和40年代から50年前後にトヨタ車に積まれていた車載工具のひとつです。
車業界で働いていた時に旧車を携わることがあって、その車に積まれていたのがこの工具でした。確か-ドライバーもあったと記憶しています。
その後、携帯性の向上とコストを下げる為にシャフトを両端に+-を設けて抜き差しして使用するタイプのものに変わりました。