お祭りの撮影の時に両者の望遠域を利用して撮影したのはお伝えした通り。そこで撮り比べができるようにと同じようなアングルを撮影しておきましたので、その画像を見ながら両者の違いを見てみたいと思います。
両者のスペックはそれぞれ以下のリンクでご確認願います。
FinePix S5200 詳細 FinePix F80EXR 詳細
画像はどちらも等倍画像から800x600へ縮小させただけで一切補正しておりません。
FinePix S5200にて撮影 SS1/550 絞りf6.4 ISO400
露出補正±0 撮影画素数 3Mピクセル
V10と同じパネルなのでその描画力はよく似ている。発色など素直で自然。各色の階調もよく表現されている。V10の時に散々述べているがこのパネルは見た目そのままの発色で好印象である。
一番左の茶色い法被は背中に強い太陽光が当たっているが、背中から腹に掛けての階調もきちんと表現されており、背中の白飛びが少ないのも立派である。
コントラストを保ちながらも暗部は潰れず粘っており、両サイドの木の幹が黒く潰れずにきちんと確認できているのは流石。その階調も悪くない。
このパネルの特性から高い周波数や低い周波数(暗部や明部)で無理に粘るようなチューニングを施していないのだが、暗部の黒が潰れず明部の白が思っていたよりも飛んでおらずで上手くバランスさせているのは立派である。
今回、神輿を中心に撮影したかったのだが、手前に人物が居たので鶴の法被を着た人物にピントが合ってしまっている為に神輿の解像度が確認しづらくなってしまった。
但し、等倍でみる限りでは500万画素クラスながら十分な解像度を保っており、特に大きな不満は感じられなかった。
FinePix F80EXRにて撮影 SS1/150 絞りf5.6 ISO AUTO400(ISO100)
ダイナミックレンジ DR100固定 露出補正±0 撮影画素数 6Mピクセル
S5200と比べてコントラストが高くヌケが良い。EXRパネルのお陰でダイナミックレンジが広いのが確認できるが、結構高周波数(明部)な部分での白飛びが目立つ。
ダイナミックレンジ(DR)の設定をDR200やDR400などに上げれば良いのだろうが、ダイナミックレンジを稼ぐことで無理に明部を抑えたり暗部を持ち上げたりと補正が強くなり画全体の締りが無くなってしまうので当方は好みではない。
地面の写りを見るとS5200とほぼ同等の露出のようだが、コントラストが高い分、茶色い法被の色がS5200よりも僅かに淡白である。但し周波数が低くなるにつれて(暗部に近くなるほど)逆転傾向にあり、あずき色の法被や神輿のしめ縄などはS5200よりも色が乗っている。
こちらはきちんと神輿にピントが合っているので解像感はS5200よりも高い。元々パネル自体の解像度の違いもあるし、撮影した際の画素数もこちらの方が多かったので解像感が高いのは当たり前の話である。
但し、エッジがきつめのセッティングのようで、笹の葉や神輿の後ろにある木の葉が煩く感じる。
ざっと両者の画を見て気付いたことを乱立しましたが、やはり両者ともにフジの画らしさが出ていると思います。
この画像を見比べて驚いたのは、兎に角カラーバランスが非常に似ていることです。神輿の金箔の色、しめ縄の紫色や提灯、笹の枝に付けられた飾りなど、どれもが殆んど同じと言ってよいと思います。
驚くのは三つの紋があります神輿のやぐらのこげ茶色の色がまったく同じで明部暗部でのカラーバランスや光の捉え方とみな非常に似ております。
違う見方で言いますと2005年発売のオーソドックスなパネルながらも次世代のEXRパネルに迫る描画力をもつS5200は大したものだと感心させられます。
V10やS5200に積まれるCCDパネルの画像チューニングは中間階調を大事にするセッティングの為、余計なリダクションを無理に掛けることをしていないので等倍で見た時のノイズが気になりますが、そのお陰で変な色乗りや階調が損なわれず何世代もあとのパネルの描画に迫る写りは評価に値すると思います。
当方がV10を好み、大のお気に入りという理由がこれでお分かり頂けたと思います。
因みにですがF80EXRのマクロ撮影はまったく駄目。晴天下で撮影したようなヌケの良さが無く、全体的にボケた画で眠たく解像感も無くとV10の方が遥かにマクロ撮影に適していました。