とある日に気温が下がって多少動きやすくなったのでE900を試写してみました。
今回は曇天での撮影。雨がポツポツと降り始めていたので庭のユリと自宅周辺にて撮影しました。風が強かったので多少被写体ブレがありますことをご了承願います。
リサイズは画像閲覧ソフトであるMassiGraにて800x600へ変更したのみ。トリミングはWindows標準装備のペイントで切り取った画像をBMPで保存してMassiGraでJPEGに変換しています。モザイクはBMP時にJTrimという簡易画像処理ソフトを使用しています。
SS1/170 f/2.8 絞り優先AE ISO80 露出補正なし
マルチパターン測光 撮影解像度3Mピクセル 焦点距離7mm
カメラの素性をそのままお伝えできるようにと敢えて露出補正を掛けていないので眠たい画になってしまっている。
マルチパターン測光ながら周りの光量や色に引っ張られずにユリの花弁の色がうまく表現されている。白飛びが抑えられカラーバランスも悪くない。それでいて暗部の潰れが無いのもよい。
この状況下だとF700/F710/F810/E550なら間違いなく緑被りを起こしてカラーバランスを変更する必要があったと思う。
そういえば、この眠たい画はS9100に通ずるもの。同じパネルだと察しが付く。
上の画像の花弁の部分を等倍から640x480にトリミング。
僅かながら青の収差が見られるがコンデジのレンズとしては優秀。もっと酷いカメラは幾らでもある。花弁の階調やS/Nも悪くなく表面の質感も出ている。白のカラーバランスは流石フジ機であって綺麗に出ている。
風で僅かに被写体ブレを起こして解像度の判別はこの画像からは無理であった。
SS1/34 f/5.6 絞り優先AE ISO80 露出補正なし
マルチパターン測光 撮影解像度3Mピクセル 焦点距離7mm
ワイド端での撮影。このシチュエーションでは湾曲はあまり感じられないが、実際はたる型湾曲は多めの部類。周辺ボケは少なく収差の件を踏まえるとやはり優秀なレンズだと思う。
風化したブロック塀の質感も見た目のまま描画されている。このシチュエーションでのカラーバランスも悪くなく、曇天の雰囲気がきちんと描画されていると思う。
同じく等倍から640x480にトリミング。
3Mピクセルながら薬局のタイル目地など識別が可能。撮影画素数を6Mや9Mピクセルに上げればはっきりと描画できると思う。
コカコーラの自動販売機の赤も飽和せず色も自然。薬局の黄色い看板も見た目の色そのままであった。右側にある病院の電気室の換気塔で日焼けした吹き付け塗装の色も自然。
SS1/85 f/2.8 絞り優先AE ISO80 露出補正なし
スポット測光 撮影解像度3Mピクセル 焦点距離7mm
スポット測光で花弁で露出を計測して撮影。
ピンク掛かった赤が飽和せずに曇天ながらも鮮やかに表現されたのは驚いた。コンデジの場合は原色の表現が苦手で特に赤は飽和傾向にあるが、ピンクが混ざった赤をここまで再現できるのは立派である。同じく曇天ながらも葉の緑は深く流石のひとこと。F810,E550は赤が苦手で飽和傾向にあるため、ここまで表現できない。
1/1.6型CCDパネルの大きさから開放値ならバックはここまでボケてくれる。2線ボケも無く十分綺麗なボケである。
等倍から640x480にトリミング。
飽和してしまうと階調表現ができず単調になって花弁の細かな皺や凹凸の表現ができなくなってしまうが、E900は十分に花弁の質感を表現してくれた。S/Nも良好。
SS1/90 f/2.8 絞り優先AE ISO80 露出補正なし
スポット測光 撮影解像度3Mピクセル 焦点距離7mm
同じ花をアングルを変えて撮影。
明るい空が画面1/3を占めながらも花弁や葉の色が他へ引っ張られずに上の画像と同じ表現ができているのは流石。スポット測光の領域がかなり狭い部類に入るのだと思う。よって被写体への正確な露出が算出しやすいので、ポートレートなどの撮影にうってつけである。
明部が多いので被写体である花弁のコントラストが下がると思ったが、逆に上の画像よりも僅かに高めに撮影されている。それでも花弁の質感は損なわれずに同じように表現されているのは立派である。
再三述べるがコンデジのレンズでこの収差の抑制は見事。
ホワイトバランスはすべてオートで撮影しています。今回の撮影全てでバランスを崩すことなく普通に撮影できていたのは流石。カラーバランスに定評のあるフジだけに殆どのシチュエーションでオートのまま対応が可能かと思います。
当方がデジカメでフジ機を選ぶ理由は、このオートでのホワイトバランスの正確さがあるからです。
F810/E550ならば曇天撮影だとシチュエーションによって緑被りが発生するので、E900ではアルゴリズムのチューニングが進化しているのだと思います。
2枚目の道路の画像から淡白な色合いかと思いましたが、原色は意外に色が乗っていますから、自然の風景や花の撮影などが意外に面白いかも知れませんね。
S9100で試写した時はこのCCDパネルはどうなのかと疑問に思いましたが、E900では多少なりともチューニングを煮詰めたようで好印象でありました。
(素性は良いパネルなのかも知れませんね)
もしかしたらこれが海外用のセッティングなのかな?
操作性の観点で兄弟機であるF710,F810とEシリーズを比べた場合、露出を細かくコントロールするならばプリセットダイヤルを装備するFシリーズが圧倒的に操作撮影がしやすいです。
もしもこのパネルと画像チューニングがF810に載っていたならば、間違いなく手に入れたいカメラの一台だったと思います。
最後にEシリーズはF700/F710/F810と同じくRAW撮影が可能。このパネルで写されるRAWデータも見てみたいですね。
えんひろ 2014.08.21(木) 13:54 修正
フジのコンデジの中でも秀逸な物が手に
入れられて良かったですね。
ホワイトバランスの安定感やレンズ収差の
処理の仕方など、このレポを読んで自分でも
手元に置きたくなる一品ですね。
残念なのは日本での発売は無く海外モデルしか
ない事ですね。
確かに小型軽量化が日本市場では求められ
販売実績に繋がるので致し方ないのが現状。
しかしながら、この様に性能が特化して
コストパフォーマンス性の高いモデルの販売が
見送られたのはしごく残念。