以前購入したF601がCCDパネル不良で見事撃沈させられてそのまま放置されていましたので正常稼働品を新たに手に入れました。
今回の落札価格はストラップに専用バッテリー付きで500円也。
前回の記事でも記しましたが、ハニカムCCDのエンブレムが赤になりますから第三世代300万画素のパネルが装備され、S602と同じパネルが積まれた縦型モデルであり、ポルシェデザインの6800Zの後継機となります。
で、簡単な動作確認で正常動作。きちんと撮影できております。
但し、今回の個体の筐体には僅かな打痕があり、また各部で僅かではありますが擦り傷もありましたので、CCD不良の個体とニコイチで良いとこ取りで組み直すことにしました。
2台共に完全にアッシー単位ですべて分解(左側がCCD不良の個体で右側が正常稼働品)。これを一つひとつを確認して選別し、換装する部位を入れ替えてから組立作業に入ります。
今回はCCD不良の個体の方が筐体は綺麗だったので、筐体をそのままに内部をそっくり入れ替えるかたちになりました。
但し、レンズバリアに一点傷があったのと上部フラッシュカバー部に擦れ傷があったので、この二点だけは正常稼働品のものをそのまま使うことにしました。
フラッシュカバーはシャッターユニット部と一体式で発光部とカバー部を含めて内部ユニットと一対に組み上げられているので、アッシー単位での交換となります。
使用する部位を決めたところで組み上げ開始。画像は正常稼働品を組み上げて稼働させた時のものです。綺麗に仕上がりました。
組み上げたあとに爆睡中の居候レイちゃんで試写。第三世代のハニカムCCDですから、やはり若干画面全体が緑被りですね。
この画像のシャッタースピードは1/4秒ながらも手振れは殆んどしていませんから、レリーズボタンを押した時のスムーズさはピカイチだと思います。(カメラの大きさ形状からホールド性は決して良くないんですけどね)
レリーズ操作の良いV10でさえ1/4秒ですと手振れを起こしますから、F601のレリーズはV10を超えるほど押しやすいレリーズと言えると思います。
こちらはフラッシュ発光時の画。
流石に10年以上前の世代になりますから、ダイナミックレンジの狭さは否定できませんが、それでも白い毛の部分で白飛びを上手く抑えていると思います。
フジ機のフラッシュ撮影時の露出とカラーバランスは秀逸。これで当時のコンデジの主流であった外部調光式ですから驚きです。
フラッシュ撮影では緑被りが顔を出さないのが不思議。きちんとカラーバランスを取れるなら通常撮影時でも緑被りを上手く抑えて欲しいですよね。
正常なF601で組み上げたCCD不良機を撮影してみました。
やはり緑被りが酷い。この世代は何故このようなカラーバランスにしたのか理解に苦しみます。同じパネルを載せるS602でも緑被りは酷いものでしたが、F601のチューニングもお世辞にも褒められた出来ではないです。
加えてこの第三世代のパネルはハニカムCCDにしてはエッジがきつめでシャープネスが強めなんですよね。ハニカムCCDファンとしてはそんなことは求めておらず、エッジの滑らかさが好きで好んで手にしているのに『解像感なんて求めてないよ!』と言いたくなってきてしまう程、このパネルのチューニングは解像感に拘っています。
縦型のFシリーズはフジのコンデジの中でもSシリーズに続く上位機にあたり、その装備は豊富な部類になります。
6800Zの大柄なボディから手のひらサイズまでサイズダウンさせながらも機能は全く変わらず、Mモード時にはプログラムAEからシャッタースピード優先AEに絞り優先AE、マニュアル撮影まで可能であり、フラッシュ調光までもが装備され、当時の最上位機Sシリーズに匹敵するほどの内容となっています。
但し、最後の画像からもお分かり頂けるように操作ボタンが非常に少なく、それまでのフジのGUIとは全く違ってこのカメラ専用とも云える円形に並んだグラフィカルなGUIは設定がし難く、このカメラの価値を大きく下げてしまっていた部分でありました。
また、FinePixのロゴが刻まれる部分には操作系が全く備わらず、無駄になってしまっているのもマイナスポイントとなってしまっています。
無理に下部にディスプレイとインフォーメーションランプを設けているので、ディスプレイサイズが小さすぎて正直撮影画像の確認画面が見難くて殆んど使い物にならないです。
後継機且つ縦型最終であるF610と同じようなインフォーメーションディスプレイをFinePixのロゴ部分に設け、ディスプレイサイズをもっと大きくしてくれていれば、多少は使いやすかったのではないかと思います。
勿論、GUIも従来のものに戻してというのが条件でありますが。
そういえば歴代のフジの縦型カメラには大小に係わらずインフォメーションディスプレイはみな装備されていたんですよね。
F601は何故省かれたのか? 小型化による内部スペースの制約なんでしょうね。
次に画質に関してですが、この第三世代の緑被りはフォトエディターなどでRGB調整で緑を抑えてあげれば簡単且つ幾らでも修正は可能ですし、シャープネスに関しても同じであり、尚且つカメラ側に3段階の調整項目があるので、このカメラの癖を心得ていれば大きな問題となるものではないと思います。
また、この世代のフジ機には正方画素への補正を利用して600万画素(画質的には500万画素相当)での倍密撮影が可能で、そこからエディターで300万画素程度に落とした時の画質はなかなか感心させられるものがあります。
発売当時は手のひらサイズながらもCCDパネルのサイズが大きく話題になったカメラでありましたが、如何せんGUIの使い難さが仇となり、販売台数が伸び悩み結果的に失敗に終わったカメラでした。
加えて600万画素での記録が可能ながらも既に旧媒体であったスマートメディアのみの対応であり、記録サイズが大きくなった結果、最高128MBの記録容量では補えなくなってしまったのも敗因となってしまった理由でもありました。
縦型カメラを受け入れられなくなったというのもまた敗因のひとつでしょうね。
実際、後継のF610はF601の欠点を打破しながらも全く売れなかったモデルで、今では希少価値の高いカメラになってしまっていますからね。
4700Zが初のハニカムCCD搭載機でありライカにもOEM供給されたり、また6800Zではポルシェがデザインしたりと、何か大きな話題性が無いと売れなかったカメラシリーズだったんではないかと、今手にしてみてそのように感じてしまいました。